Amazonをハイジャックして、便利さそのままに地元書店からの購入を促すBookindy

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Eコマースで購入できる商品のほぼすべてを扱うようになるまで、Amazonはまず巨大ネット書店としてオープンしたのだった。クリックするだけで書籍を購入でき、割引にも積極的で、取り扱う種類も膨大なものだった。しかし、それがために地元の書店が消えてしまうというようなことも確かにあったようだ。そうした歴史を振り返りつつ、地域書店の復活を狙うのがBookindyだ。

現在のところはイギリス限定で、Chrome拡張機能の形でリリースされている。これをインストールしてAmazonで書籍を閲覧する際、一見するとごくふつうの状態ながら、画面に地元書店での販売価格も表示されるようになっているのだ。もちろん購入することもできる。仕組みとしては、地元ショップのオンライン販売を支援するHiveを利用している。

「何年ものあいだ、Amazonでの買い物を続けてきました。信頼できるし、非常に便利だからです。ただし、いつでも、そして何を買うにもAmazonを利用するというスタイルは、地元商店の衰退を招くことになってしまったのです。これは地域経済およびコミュニティにとっての損失だと考えるようになりました」とBookindyのファウンダーであるWilliam Cooksonは述べている。ちなみに彼は、すでにサービスを停止してしまったチャリティプラットフォームのBelieve.inの共同ファウアンダーでもある。

「地域書店にAmazonなみの技術力を求めることなどできません。個々の書店にAmazonと戦えといっても、それは無理な話です。価格面の話だけではなく(確かにベストセラー書籍の割引率は驚異的ですが)、商品の差異ということでもないのです(書籍はどこで買っても同じものです)。Amazonの最大の強みは取り扱う商品の幅広さです。何でも扱うことにより、そしてショッピングのためのワンストップサービスとして定着していったのです」。

そうした中でAmazonの利用頻度が増え、独占の弊害を意識しつつも結局Amazonで買い物をするという習慣がみについてしまった。独占化とそれにともなう弊害をなくすには、地元書店の便利さをAmazonと同程度にすればよいのだとCooksonは考えたわけだ。

「私たちがふたたび地元の書店を使うようになれば、地元経済やあるいはコミュニティに対して感じる罪悪感のようなものも感じる必要はなくなります。もちろんAmazonの提供する利便性は捨てられません。地元書店を使うにしても、Amazonにかける以上の手間をかけたくはありません。そこでBookindyの登場となるわけです。Amazonでいつものように商品を眺めながら、そこに地元書店から購入するオプションが提示されるようになるのです。Amazonの商売を邪魔しようとするものではありません。消費者に対してひとつのオプションを提供しようとするものなのです」とのこと。

Bookindyの機能を使って購入した場合、これはHiveへのアフィリエイトとして扱われることになる。書籍は書店で受け取ったり、あるいはAmazon同様に配送してもらうこともできる。Hiveは売り上げの一部を手数料として徴収することになっているので、もちろん地元書店(およびBookindy)にも利益が生じるようになる

「商品が購入された際、受け取り場所によらずBookindyは5%のアフィリエイトフィーを得ることになっています」とCooksonは言っている。「Bookindyはクラウドソースによる人気商品発見ツールとしても機能することになります。検索されている人気商品について、Amazonと地元書店との価格比較を行なって情報を提供していくことなどもできるようになります。Chromeの拡張機能だけでなく、より安い価格の商品を提供するマーケットプレイスなどのサービスも提供できるのではないかと考えています」。

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(翻訳:Maeda, H

投稿者:

TechCrunch Japan

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