リスボンに本社を置くUnbabelは、彼らの言葉によると“AIを使い、人間の手で精製する”翻訳プラットホームで、ここを利用すると低コストでビジネスをグローバルに展開できる、という。その同社が今日(米国時間1/11)、シリーズBで2300万ドルを調達した。
このラウンドをリードしたのはScale Venture Partners、これにMicrosoft Ventures, Salesforce Ventures, Samsung Next, Notion Capital, Caixa Capital, Funders Clubらが参加した。この前のシリーズAのラウンドは2016年10月で、調達額は500万ドルだった。
Y Combinatorの2014年冬季を卒業したUnbabelは、AI/機械学習を利用し、約55000名の人間翻訳者のネットワークを併用しながら、メールやチャット、Webサイトなどのテキストを翻訳する。ただし翻訳結果ではなくAPIによるユーザープロダクトとの統合という形で提供され、すでにSalesforce, Zendesk, WordPress, Mailchimpなどのエンタープライズソフトウェアで利用されている。
Unbabelの協同ファウンダーでCEOのVasco Pedroによると、今度の資金は主に同社プラットホームのAI/機械学習部分の増強に充てられる。それは同社の成長とともに、重要性が増している。
もうひとつ資金を投じたいのが、営業とマーケティングだ。それは同社がこれまであまり力を入れなかった部分だ。ただし現在あるアメリカのオフィスは主に営業専門、ポルトガルは製品開発とエンジニアリングが主体だ。
課題のひとつは、Unbabelのようなソリューションがあるのだ、という認識の普及。つまりそれは、Google Translateのような機械翻訳か、それとも複数の言語を知ってる人間にやらせるか、という二者択一ではない。
Unbabelのプラットホームは機械を人間が補強し、人間を機械が補強する。その両方向だ。どっちが多くなるかは、コンテンツのタイプや、スピードと精度/ニュアンスのトレードオフで決まる。
たとえばチャットに翻訳機能を持たせたいユーザーは、機械翻訳によるリアルタイムに近いスピードを選ぶだろう。しかしメールは非同期だからやや遅くてもよいので、人間の出番が多くなる。
Unbabelは上で挙げたエンタープライズ向けサービスのほかに、Facebook(Oculus), Buzzfeed, Booking.com, Pinterest, Under Armourなども利用している。Pedroによると、今回の投資家たちがMicrosoftやSalesforce、Samsungなどと関係があるのも、今後のエンタープライズ顧客を獲得していくためだ。
Samsung Nextの社長Nick Nigamが、声明文の中で言っている: “地理的境界をなくしてしまう技術には投資対象としての魅力がある。Unbabelは語数あたりの利用料金が継続的に下がっているので、国境のないコミュニケーションがプロフェッショナルでスケーラブルに、しかも手頃なお値段で可能になる”。