Amazon Web Services(AWS)が今日(米国時間7/9)、APIの作成と管理を容易にするためのツールAmazon API Gatewayを発表した。
今日では多くの企業が、API(application programming interface)を介して、他のアプリケーションのバックエンド機能を利用している。しかしAPIの作成と管理、セキュリティの確保、正しい動作の維持などAPI関連の業務はAPI提供企業にとって大きな負担になる。Amazonは、これらの業務をクラウドからのサービス、いわばAPI as a Serviceとして提供することによって、企業の負担を軽減しようとしている。
人気の高いAPIは一日に数百万からときには数十億回もの呼び出しがあるので、強力頑丈なサーバを必要とし、提供企業はダウンの起きない円滑な運用に配慮しなければならない。APIは収益源でもあるから、多くのサービスに使ってほしいと提供企業は思うが、不具合が多くなればデベロッパは代わりのAPIへ移行する。
そこでAmazonは、企業によるAPIの作成と管理を今回のツールによって、できるだけ容易にしようとする。APIの運用の面倒な部分、すなわちトラフィックの管理、ユーザ認証、アクセス制御などの部分を、このツールが肩代わりする。Amazonによれば、このツールを使うとAPIの作成がほんの数クリックででき、デベロッパのためのSDKをJavaScriptやiOS、Androidなど向けに配布できるようになる。
このツールの主な機能の実装には、当然ながら、コンピューティングではAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)、APIリクエストのユーザ認証にはAWS Identity and Access Management(IAM)など、Amazon自身のリソースが使われる。またデベロッパは、Amazonの昨年秋のre:inventカンファレンスで発表されたAmazon Lambdaを利用して、何らかのアクションのトリガとなるイベントを、作成し指定できる。
たとえばAPIの利用者がものすごく多くてレイテンシーが発生している場合は、そのことをトリガイベントとして、API呼び出しの一部を他の計算機資源へ回すことができる。
API管理サービスでは、4月に上場したApigeeやMasheryなどのコンペティタがすでにいる。Amazonなら必ず成功するとは言い切れないものの、既存勢力は今、ある程度脅威を感じているだろう。
このツールの利用料金はAPI呼び出し100万回につき3ドル50セント、プラス、データ転送の費用だ。キャッシュメモリを大規模に使うなら、その料金もある。それらの料金については、ここに載っている。
なお、API呼び出しが毎月100万回以下の場合は、最大12か月まで無料だ。