米国時間9月1日、プライベートエクイティ企業Apollo Global Managementが、Verizon(ベライゾン)からのYahoo買収を完了したことを発表した。なお、そのYahooは前日8月31日までVerizon Media Groupという名前で、さらにその前にはOathという社名だった。買収額は50億ドル(約5500億円)で、42億5000万ドル(約4675億円)がキャッシュ、7億5000万ドル(約825億円)が優先株式となる。Verizonは、この名前が変わった企業の10%を保有する。
ニュースに付随するリリースで、YahooのCEOで元VZMのトップGuru Gowrappan(グル・ゴラパン)氏は次のように述べている。「この取引の完了は、独立した事業体としての私たちにとって新たな機会となるエキサイティングな時期を告げるものです。今後数カ月、数年の間に、Yahooのビジネスおよびブランドとして、新たな成長とイノベーションがもたらされることを期待しており、新しいパートナーとともにその未来を創造していきたいと思います」。
買収完了後はゴラパン氏はYahooのCEOの座に長くとどまらないのではないか、との報道もあるが、当面は彼がトップだ。
この企業集団には、Yahoo名義のMail、Sports、Financeなどのメディア資産に加えて、TechCrunch、AOL、Engadget、インタラクティブメディアブランドのRYOTなどがある。傘下のブランドは、全世界で約9億人の月間アクティブユーザーを抱えており、Apolloの調査によると、現在インターネット上で第3位の規模を誇るという。
Verizonはオンラインメディア、特にアドテック分野への包括的な進出を目指して数年間にわたって取り組んできたが、今回の買収により、コストがかかりすぎ、ほとんど利益が出ないことが判明し、最終的には、通信事業者の大きな成長戦略にとってコアビジネスではないことが明らかなった。
このニュースは、オンラインメディアの激動の時期にもたらされたもので、業界全体の統合が進む中、多くはVerizon Media内でも感じられた。Verizonは2015年にAOLを44億ドル(約4841億円)で買収し、続いてその2年後にYahooを45億ドル(約4951億円)で買収、2つのレガシーメディアをOathという名のグループにまとめた。2018年末、Oathは合併にともない46億ドル(約5061億円)の減損処理を行っている。
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新たなオーナーがこの大きな船をどう舵取りしていくのか、まだわからないが、プライベートエクイティ企業の標準的な手法としては、Apolloが事業の一部を売却したり、他の手法で経営合理化を図ることが考えられる。
しかし、Apollo自身は、新たに取得した資産への投資を約束し、少なくとも当面は人減らしもない。巨大持株会社であるApolloの傘下には多くの情報通信、メディア、テクノロジー企業があるため、その活用も注目を集めている。
ApolloのパートナーであるReed Rayman(リード・レイマン)氏は、リリースで次のように述べている。「我々は、同社の優秀な従業員と協力して、Yahooの力強い勢いを強化し、新生Yahooを独立した消費者向けインターネットおよびデジタルメディアのリーダーとして長期的に成功させることを楽しみにしています。顧客第一主義の提供やコマース機能の加速、リーチの拡大、日々のユーザー体験の向上など、事業全体の成長に向けた投資を検討しており、Yahooの次章にこれ以上ないほど期待しています」。
画像クレジット:Getty Images
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(文:Brian Heater、Ingrid Lunden、翻訳:Hiroshi Iwatani)