商売柄、私はハードウェア、ソフトウェア共にそのユーザビリティーに関して常に批判的だ ― 特にスマートフォンについては。私の重要な評価基準であり、驚くほど多くのデザイナーに無視されていることが一つある ― 商品は真空中に存在していない。
自分の製品を何千、何百万の人々に使ってもらうことが目標、混雑したバスや地下鉄の中、汗まみれの雑踏の中でどう使われるかを考えるべきだ。あるいは、まぶしい大陽の下や、車の中や、もう一方の手で何かをしている時にどう使えるかを。
こうした「困難環境下での使用シナリオ」に対する私の思いは、子供を持って以来つのるばかりだ。何かを教えたり、食べさせたり、寝かしつけたり、命を守ろうとしている時、あらゆることは10倍困難になる。
その点が、今でも他の多くの端末に対してiPhoneが持つ強味だと私は感じている。私は、Android等のプラットフォームを使用する端末を所有し、楽しんで使っているが、Appleのハードウェア、ソフトウェア双方に対するアクセシブルデザインへの集中は、忙しい時、悩める時、疲れた時、酷使されたの使い心地における優位性を生みだしている。
子供の1人や2人、あるいは10人を相手にして、ただ仕事をこなそうとしている時、システムレベルでOSを操作できる能力は、ものごとを〈適切に〉行うことに比べてさほど重要だと感じない。
Appleが最新の「よりパワフルな」iPhone CMシリーズで強調しているのはそこだ。”Parenthood” と題され、今日初めて放映されたこのCMは、親が親らしい仕事をしている場面に焦点を当てている。
iPhoneは、もちろん、ベイビーモニタリングや、歯磨きの練習、パーティーゲーム、エクササイズ等、様々な子供に関わる用事で光を放っている。
私が気付いた興味深い点が一つある。CMには、iPhoneを受動的なエンターテイメントに使う場面が出てこない。アプリは物事を〈行う〉ために使われ、iPhoneを親の代理として位置づけるもの以外が注意深く選ばれている。
CMで使われている曲は、ジュリー・ドイロンのLife of Dreamsで、アプリは登場順に、Withings Withbaby、My Teeth、Drawnimal、Pet Manager pro、Kinsa、Wemo、Nike+ Running、およびParrot Flower Power。
前回の健康に焦点を当てたiPhone CMと同じく、Appleはハードウェア面を強調している。これは、健康志向のハードウェア製品の発売が噂され、WWDCで新しいハードウェアフレームワーク、HomeKitの説明に長時間を割いたことを踏まえれば当然だ。
CM中、iPhoneとつながっているデバイスは、Withings Withbaby、Light device、Tractive collar、Proscope Micro、Kinsa thermometer、およびプラントモニターのParrot Flower Power。
もちろん、これをndroid端末ではできないと言っているわけではない。殆どは私のNexus 5でもできるが、iPhoneほどフールプルーフではない。AppleがこうしたCMで、自社製品で何ができるかを示すことに焦点を当てているのは良いことだ。
一方、今週Samsungが流したCM ― こちらも「親視点」― がiPhoneのカメラを貶しているのは対照的だ。
トーンは耳障りかつ防御的で、より良いと称するカメラの動くところさえ見せていない。そして、iPhoneが世界一使われているカメラで5.15億台売れていることを踏まえると、弱点を攻めていることになっていない。
このAppleのCMが焦点を当てているのは、iPhoneがユーザーのためにできることそのものであり、ライバルではない。ユーザビリティーはiPhoneの奥深い強みでありAppleはそれを知っている。そしてユーザビリティーは他の誰よりも親たちにとって重要であることも。
あの小さなLEDが注目を欲びているところも好きだ。あれを懐中電灯に使わない人はいない。
全体として、妻の言葉を借りるなら、「とてもキュート」なCMだ。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)