AppleのGarageBandが大幅アップデート、EDMの楽曲制作にも対応

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GarageBandはこれまでもアクースティックギターの演奏にもう少しサウンドを加えたい音楽家や激しいメタル音楽をカスタマイズしたいと考えるバンドにとって魅力的なアプリだったが、エレクトロニック・ミュージック・ジャンキーの間ではそれほどの評判はなかった。

しかし今日、AppleがローンチしたGarageBand for iOSに大幅なアップデートがなされ、私のような初心者にも魅力的で、もちろんエレクトロニックのミュージシャンの人気も得られる新機能が搭載された。「Audio Units」への機能追加やビートを刻む新機能が登場した。

今回のアップデートの最大の花型は「Live Loops」という機能だ。これはエレクトロニック音楽を制作する工程に寄り添った、全く新しいサウンドの作り方を提供する。グリッド状のインターフェースでは、異なるそれぞれのセルにどこまでもカスタマイズ可能な良質なサウンドサンプルを当て込むことができる。つまり、ドラムマシーン風にそれぞれのサウンドを調整することができる体験だと言える。将来的に色んなパーティーの音楽に使われるようになるだろう。

Live Loopsを開くと、Appleは多様なカテゴリーのサウンドの予め一通り揃えて提示している。例えばEDM、ヒップホップ、ダブステップ、 ハウス、 ビートマッシャーモードといったものがある。Appleはこのリリースでエレクトロニック・アーティストの関心を引きたいと思っているのが分かる。これらの予め用意されたサンプルのサウンドも素晴らしいが、少し遊んだら、もっと深くサウンドを追求したいと思うようになるだろう。用意された数百のループから好きなものを選んで加えたり、ビルトインのキーボードで新たなループを作ったりすることもできる。

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いくつか気に入ったサンプルが出来上がり、ループの同期カラムの操作になれたら、FXパネルでトラックに盛り上がる効果を付けることができる。タッチコントロールでワブル、リバーブ、リピート効果で雰囲気が盛り上がるだろう。最新テクノロジーと音楽に酔いしれたラスベガスのCESでのアフターパーティーを思い出した。

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アプリ内の幾つかの機能は、EDMのパフォーマー向けに特化した設計のようだ。FXのコントロールボタンの1つは、デバイスを動かすことで効果を操れるものだ。加速度計を利用して、回転してサウンドを付けるフィルターは無意味なように思うだろう。その通りだ。だけれど、これは「このサウンド良いだろう?」と披露するようにはぴったりだ。

Live Loopsは実際に触ってみなければその体験を知ることは難しい。私はレイアウトに慣れるため、ハンズオンで新しいGarageBandを試す時間を取った。下の動画では、このバージョンのサウンドのサンプルを制作する方法をもう少し詳しく紹介している。

ループを制作する時、このGarageBandバージョンから加わった「Drummer」という新機能を使うことができる。これは、それぞれ独特の特徴的なサウンドを持つ仮想ドラマーがセッションを演奏するものだ。ドラマーには個性があり、名前と音楽スタイルがある。いくつかはEDMに最適だし、クラッシックなロックスタイルなのもある。そのサウンドもカスタマイズできる部分が多く、ドラマーの「Jasper」や「Dez」でそれぞれのアーティスティックなスタイルを探求し、サウンドに深みを増すことができる。

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もう1つ、熱心なミュージシャンが望んでいたことは数ヶ月前から噂されている、GarageBand for iOSのAudio Unitsへの機能追加だ。この機能でサードパーティー制のプラグインを使用し、他のプラットフォームにはないサウンドを制作することができる。新しいLive Loops機能を試した時、Arturia iSEMのエレクトロニック・シンセサイザーで作ったループを加えた。あまり手間なく付け加えることができた。

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アプリの体験は間違いなくiPad Proに最適化されているが、ここで紹介した機能は他の小型なiPadやiPhone(iOS 9であれば)でも使用することができる。Live Loopsの機能は特にiPhoneのような小さい端末のインターフェースでも十分に良い。GarageBandのTrackのレイアウトは操作する時にiPhoneだと狭苦しい感じもあるが、アプリはモバイルでどこでもサウンドを編集するためのツールとして制作されたものであることに違いない。Live LoopsではiPhoneでも実際に問題なくかっこいいサウンドが作れ、iCloudのおかげで、後で他のAppleデバイスから作業を続けることができる。

GarageBandはこれまでも熱心なミュージシャンにとって魅力的なプラットフォームだった。しかし、さらに「真剣」なオーディオ制作にはLogicのようなソフトウェアを好んで使っていた人もいるだろう。それではプロがトラックを細かく調整することができる。この11年前からあるプログラムは、アーティストや趣味でサウンドを制作する人たちの間で人気があるものだ。

GarageBandに前からあるTrackのレイアウトは、ジャム・セッションや荒削りのサウンドを制作するには素晴らしいものだったが、Live Loopsを搭載したGarageBand for iOSはもう少しパーティー用のサウンドに向いているかもしれない。また、音楽の才能を問わず、とても親しみやすくなり、使いやすくもなった。このアプリは容量が32ギガバイト以上のiOS端末にプレインストールされている。今後もう少し多くの人がこの賢い新機能を試してみるチャンスを得ることだろう。

GarageBandはiOS 9の端末ならどれでも対応していて、App Storeから無料でアップグレードすることができる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

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TechCrunch Japan

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