ARM(アーム)は、世界でほとんどのスマートフォンが使っている基本チップを設計している会社だ。米国時間5月27日に同社は、高級スマートフォン向けの次期チップデザインを発表した。このデザインに基づいて作られたチップの完成にはまだ時間がかかるだろうが、これまでの例にならえば年末までには最初のチップを見ることができると思われる。今回同社は、Cortex-A77 CPU、Mali-G77 GPU、および省エネルギーを強化した機械学習プロセッサーを発表した。
最近のトレンドを踏まえると、新しいCortex-A77が総合性能の改善だけに焦点を当てていないことは驚きではないが、前世代に比べてIPC性能を20%改善したと同社が約束している点は見逃せない。ハードウェア、ソフトウェア一体となった最適化のおかげで、Cortex-A77は機械学習性能も著しく改善されている。
機械学習プロセッサーも提供している同社がなぜ、そこを強調するのか?ARMによると、現在専用のニューラルプロセッサーを使用しているスマートフォンはほとんどない。実際、スマートフォンの85%はCPUのみまたはCPU+GPUの組み合わせで機械学習の負荷を受け持っている。また、アクセラレーターが利用できる場合でも、それがGPUであれ専用機械学習チップであれ、そこにタスクを引き渡すのはCPUだ。
他の新世代ARM CPU同様、Cortex A77もエネルギー効率および生の性能の改善を約束している。実際ARMは、2013年以来性能を4倍にしたと言っている。
同社はモバイルゲーミングにも賭けている。その延長線上にはモバイルVRやAR体験がある。新しいMail-G77 GPUアーキテクチャは、同社のValhall GPUデザインをベースにした最初のチップであり、G76の1.4倍の性能を約束している。エネルギー効率も30%向上し、機械学習の推論とニューラルネットワークの実行は60%速くなった。
機械学習プロセッサーに関して、ARMはすでにProject Trilliumという、同社CPUと組み合わせて使用する異機種間機械学習処理プラットフォームを提供している。昨年Trilliumを発表して以来、同社はエネルギー効率2倍、最大8コアで32 TOP/秒のスケールドパフォーマンスを実現している。
「新しいスマートフォン体験は、高いハードウェア性能と新たなソフトウェアイノベーションを可能にする機能によって作られる。デベロッパーにとってCPUは、一般計算のみならず機械学習も扱うこれまでになく重要な存在になっている。没頭姓の高いAR/VRアプリケーションや高画質のモバイルゲームなどでも同様だ」と同社が発表文で述べた。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook )