ネットショップ作成サービス「BASE」からスタートし、今では自社でオンライン決済サービス「PAY.JP」までサービスを展開することで、購入から決済までのネット上でのお金の流れをワンストップで作っているBASE。同社がいよいよリアルな決済サービスに進出する。BASEは6月27日、お支払いアプリ「PAY ID」を公開した。本日からサービスを利用できる。
PAY IDは、スマートフォンアプリを通じて、代金の請求および支払いができるサービス。利用にはPAY IDの取得とクレジットカードの登録が必要。
店舗がオンライン上の管理画面で独自のQRコードを発行し、それを印刷しておけば、PAY IDアプリでそのQRコードを読み込むだけで決済が可能になる。また、PAY ID登録ユーザー同士であれば、アプリ上で個人間決済を行うことができる(このあたりの仕組みはAnyPayのpaymo同様、決済であることを証明するために、商品の写真撮影などが必須となる。ちなみにpaymoは商品でなくレシートの撮影を求めている)。
決済手数料は、加盟店や事業者においての支払いの場合、加盟店側は利用中のサービス(BASEもしくはPAY.JP)の決済手数料に準じる。購入者は無料。個人間での支払いの場合、請求側はキャンペーンとして2017年12月末まで無料、支払側は期間を問わず無料となっている。なお支払い限度額は1回あたり3万5000円、月間で10万円となっている。PAY IDアプリのリリースにより、すでにオンライン決済サービスのPAY.JPを導入している事業者や、ネットショップ作成サービスBASEの店舗も、店舗や催事などリアルな場面でもQRコードを用いた対面決済の提供が可能になる。QRコードによる対面決済は先行してOffice Oasis(阪神酒販)、下山松濤軒(つるの玉子本舗)、弁当将軍(ベントー・ドット・ジェーピー)などが導入する。
オンライン、オフラインを問わない決済サービスに
「これまでPAY.JPでは、事実上オンラインでの決済だけを提供してきました。だがこれからはオンライン、オフラインを問わずにサービスを提供していきます。また人と人との間の決済についてもやっていくことで、基本的には全ての決済に利用できるようになっていきます。BASEはもともと決済のあり方を変えると言ってきましたが、そういう時代になってきた。タイミング的にもいいと思っています」——BASE代表取締役の鶴岡裕太氏はこう語る。
最近ではLINEがプライベートカンファレンスでLINE PAYを軸にしたウォレット機能の強化を発表し、割り勘アプリからスタートしたAnyPayのpaymoも、7月からQRコード支払いへの対応を発表している。OrigamiのOrigami Payはすでに都内の店舗やタクシーなどでQRコード決済を提供済みだ。中国では「Alipay(支付宝)」や「WeChat Pay(微信支付)」といったQRコード支払いの決済サービスが普及しているが、日本でも同様のサービスが出てきたということだ。
ではQRコード決済サービスのスタンダードになるために重要なことは何なのか? 鶴岡氏は加盟店の開拓だと語る。「BASEはすでに30万のショップを持っており、オフラインショップを持っている人もいます。加盟店開拓についてはまず既存のリソースを使うことができます。現在(プロダクトローンチ前の取材時点を指す)は、一部のテストを除いてショップへの告知は行っていませんが、アンケートを実施したところでは決済の需要は高いです」(鶴岡氏)。
とはいえ、BASEはQRコード決済の普及について楽観視しているわけでもないようだ。「結局は(交通系電子マネーで)ピッと決済する方が、QRコード決済よりも簡単。QRコード決済がより楽になるのはまだ先でしょう」(鶴岡氏)。だがその一方で、手数料などを考慮すると、QRコード決済の強みもあるという。「(交通系電子マネーの)手数料は4〜5%と高い。一方で中国のAlipayなどは0.5%程度と安価。月数十万円の売上で5%といった手数料がかかるというのは加盟店にとって酷な話。最初は電子決済を持っていない人達にアプローチしていく。安価なツールで、最適なソリューションを提供していきます」(鶴岡氏)