5年前にG Suite(元Google Apps for Work)ユーザーのための管理サービスとして立ち上がったBetterCloudが、もっと一般的なSaaS管理サービスへの全面的な変身を図り、今日(米国時間12/6)、その新しいプラットホームを披露した。
CEOのDavid Politisによると、同社はサービスの設計を完全に一新し、これまでの一枚岩的なアプリケーションから、コンテナとマイクロサービスをベースとするより現代的なアーキテクチャに変わった。同社のその新しいサービスには、さまざまなAPIを呼び出して外部サービスに接続する、という重要な機能がある。これにより、Googleのスイートだけでなく、APIを公開しているSaaSアプリケーションなら何でも管理できるようになった。
Politisによると、今回の変身には、2年という年月を要している。彼のその長期ビジョンは、投資家と社員と顧客の、忍耐を試す試金石となったが、しかし彼によると、その困難な改築工事を成し遂げたことによって、今の同社には新しいツールを迅速に加えることのできる能力が備わっている。同社のサービスの旧バージョン〔コンテナベースでない〕では、それは、不可能ではないまでも、きわめて困難だっただろう。
新しいSaaS管理サービスは集中管理的なダッシュボードを顧客に提供するが、そこから引き続いてG Suiteの管理もサポートされる。顧客はユーザーのアクティビティを非常に詳細なレベルで管理できるだけでなく、そこからそのほかのサービスにプラグインすることもできる。今のところそれらは、Slack, Zendesk, そしてDropboxだ。今後はSalesforceなど10あまりのサービスを統合していく予定だ。
BetterCloudの新製品の中心的なコンセプトは、顧客企業のITに、その企業が利用しているクラウドサービスを一元管理/制御できるためのツールを提供することだ。たとえばそれは、今どの社員が何のシステムを使っているか、どんな外部アプリケーションを動かしているか、その人のユーザー特権は何か、などを詳細に把握管理する必要がある。また、さまざまな状況に応じて、xxxが起きたらyyyをせよ、というタイプのワークフローの集合を定義しなければならない。たとえば、ふつうのユーザーに突然アドミン特権がある、という事態が生じたら、パスワードをリセットし、IT用の認証チケットを作り、Slackに注意報を送らなければならないだろう。
Politisによれば、このような幅広いクラウド管理アプリケーションが実は最初から目標だったが、最初はあえてG Suite一本に絞った。彼は説明する: “BetterCloudを作ったとき、これをすべてのSaaSアプリケーションに対してできたら、どんなにすばらしいだろうか、と夢想した。しかしそうするとAPI呼び出しに依存する複雑な部分が増え、毎日何十億ものAPI呼び出しをすることになる、という高い壁が目の前にあった。その壁を、今日やっと、乗り越えることができた”。
取締役会や投資家たちとさんざん議論を重ねた挙句、彼は、プラットホームの完全なオーバーホールをやるべきだ、と決断した。それには、彼自身の計算によるギャンブル、という側面もあったが、でもその構想には現代的なプログラミングの原理原則の、堅固な基盤があり、また今後の大きな市場拡大の可能性もあった。G Suiteだけでなく、さまざまなSaaSアプリケーションを、単一のダッシュボードから管理制御できる新製品なら、今後の大きな需要を望める、と彼は考えた。
若いスタートアップが全面的な変身を図ることは決して容易ではない。しかしPolitisによれば、2年間、あれほどしんどい仕事をみんなでこなしてきたのだから、そのご褒美はきっとあるはずだ。