ビットコイン取引所を運営するbitFlyerは、シリーズCで約30億円を調達した。調達方法は第三者割当増資、調達先はベンチャーラボインベストメント、SBIインベストメントなど。資金調達後の資本金は38億9152万円(資本準備金含む)。仮想通貨およびブロックチェーン関連企業としては日本最大であり、日本国内のFinTech関連企業として上位に入る。世界で見ても、ビットコイン取引所運営企業として米Coinbaseに次いで2位の資本金となる(米Coindeskのデータに基づく)。
代表取締役の加納裕三氏に話を聞いた。調達した資金の主な使い道は、海外展開と国内サービスの拡充だ。「ヨーロッパ市場にまず進出する。そのため、ルクセンブルクにすでに子会社を設立している。日本に比べヨーロッパ各国は仮想通貨取引の規制が厳しく、対応するには資本力が必要だ」。M&Aや同社が運営する投資ファンドの拡充も「可能性はある」と話す。
bitFlyerは、最近、家電製品などをビットコイン決済で販売するサービス「ビットコインをつかう」を開始した。このように一般消費者向けサービスにも力を入れ、同社のユーザー数は約15万人に達している。一方、プロ投資家向けのツールを充実させた仮想通貨取引サービスbitFlyer Lightningでは、最近は注目が高まるEthereumの仮想通貨Etherの取り扱いを開始している。
このように、同社は仮想通貨ビジネスに関して「全方位」向けに展開している。加納氏は「仮想通貨/ブロックチェーンのどの分野が最も成長するかはまだ分からないので、特定のセグメントに特化することはしていない。仮想通貨、ブロックチェーン、全部やる。ありとあらゆるニーズがbitFlyerで満たせることを訴求していく」と話す。
資金調達とともに、人材募集も強化する。「すでに同じビルのもう1フロアを押さえた」(加納氏)。「C#ができるエンジニア、データベースエンジニア、数学に強いエンジニア、暗号技術者などが欲しい」。型がない動的言語(スクリプト言語)ではなく、型があるプログラミング言語で作ることも同社のこだわりの一つだそうだ。「金融も証券も、本格的なシステムはC++かJavaのように型がある言語で作られている。当社は大手金融機関と同水準のシステムを作っているとの自負がある」。
bitFlyerは、一般社団法人 日本価値記録事業者協会(JADA)の幹事役の企業として日本での仮想通貨の法整備を推進する活動にも取り組んできた。仮想通貨取引所の監督官庁が金融庁に決まり、法律の改正も進んでいる。法の整備により、取引所に求められる要件も厳しくなる。仮想通貨への関心が高まれば攻撃の対象になる可能性も高まり、セキュリティ強化も求められる。「コンプライアンス面でもシステム面でも安心できる取引所を目指す。資本増強にはそのための意味合いもある」。