いいブランドはしぶとい。ここ数年、スマートフォンの世界では、かつては強大だったモバイルブランドがさまざまな成功を収めて復活を遂げている。HMD Globalのノキアの携帯電話は、おそらく最高で最も成功した例だ。Palmの復活も少しだけ注目された。
そして、BlackBerryが5GのAndroid端末として復活する。TCLは、BlackBerryの特徴の1つであるQWERTYキーボードを採用したAndroid端末でブランドを復活させることによって、モバイルの世界を驚かせた。もちろんそれだけではない。TCLには高品質のハードウェアを提供する能力があり、BlackBerry KeyOneでは確かにそれを実現した。数年前のCESで初めて実際にKeyOneを見たときは驚いたものだ。
しかし今年の初め、TCLはパートナーシップの終了を発表し、「2020年8月31日をもって、TCLコミュニケーションはBlackBerryのモバイルデバイスの販売を終了することを残念に思います」と述べた。その言い回しからすると、この取引は友好的ではない終わり方のように思えた。現在TCLは、長年の子会社とブランド契約により、独自のブランド名でデバイスを生産するようになっている。
そして今週。OnwardMobilityという聞いたこともないような会社が、北米とヨーロッパのハードウェアにBlackBerryの名前を導入することが発表された(なお、ほかの市場では他のブランド提携が行われている)。まず第一に、OnwardMobilityがほとんど存在を知られていないという事実からして、これは奇妙な取引である。同社は米国テキサス州オースティンに拠点を置く、昨年3月に設立された従業員数が50人にも満たない企業だ。おそらく今回のようなブランドとのパートナーシップを念頭に置いていたのだろう。
結局のところ、ブランディング契約は成功を保証するものではないが、少なくとも最初の一歩を踏み出すための方法ではある。BlackBerryの名前を再び復活させるという約束がなければ、今ごろTechCrunchはOnwardMobilityについて何かの記事を書いているとは思えない。ということは、それは何かあるということだ。同社のスタッフには、元TCLの社員やBlackBerryのソフトウェア開発の関係者も含まれている。もう1つよく出てくる名前Sonim Technologies。こちらもオースティンに拠点を置くもう1つの会社で、中国・深圳に拠点を置く同名のブランドの子会社だ。同社は、主に救急隊員向けの頑丈なデバイスの開発を専門としている。
OnwardMobilityのCEOであるPeter Franklin(ピーター・フランクリン)氏は、マイクロソフトとZynga(ジンガ)での経歴を持っており、同社のミッションを説明するために以下のようなかなりローファイなYouTubeビデオを制作した。
OnwardMobilityによると、同社は独立したスタートアップとのこと。投資家や投資家についてはまだ何も発表されていないが、BlackBerryの名前を再び意味あるものにしようとするこの最新の動きを、誰があと押ししているのかを知るのは興味深い。特筆すべきは、同社はまだレンダリング画像を公開していないが、2021年には物理キーボードを備えた5Gデバイスを市場に投入し、長らくBlackBerryブランドの主要な差別化要因であったセキュリティに注力すると述べている。
ソフトウェア会社のBlackBerryは、この新しいパートナーに賛同しているようだ。最高経営責任者(CEO)のJohn Chen(ジョン・チェン)氏は今回の契約について「BlackBerryは、OnwardMobilityが当社のブランドの代名詞である信頼とセキュリティの高い基準を活用して、物理キーボードを搭載したBlackBerry 5Gスマートフォンデバイスを提供すること、そして新しいBlackBerry 5Gスマートフォンが提供する企業や政府機関レベルのセキュリティとモバイルの生産性をお客様に体験していただけることに興奮しています」と述べている。
多かれ少なかれ、その点では期待されていることだろう。今のところ、このニュースは基本的にOnwardMobilityの登場とBlackBerryのライセンス契約の発表のみだ。正直言って、2020年にBlackBerryの名前がどの程度の影響力を持っているのかはわからないし、物理キーボードへの回帰を求める消費者がそれほど多いとも思えない。そのためOnwardMobilityは、競争の激しいモバイル市場で証明すべきことがたくさんある。来年には何を提供するのかを見てみたいと思う。期待したいところだ。
画像クレジット:GLENN CHAPMAN/AFP / Getty Images
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(翻訳:TechCrunch Japan)