Bossa Studiosが、ImprobableのSpatialOS上で構築された初のゲームWorlds Adriftを公開

Atomicoの支援を受け、人気タイトルの”Surgeon Simulator”や”I am Bread”を開発したロンドンのゲームスタートアップBossa Studiosが、これまでになく大規模で野心的なプロジェクトに着手した。

「コミュニティが作るMMO」と表現されるWorlds Adriftは、文字通りプレイヤーたちが共同で環境を構築し続けるゲームだ。このゲームが本日(米国時間5月16日)SteamのEarly Accessプログラムを通して公開された。

3年に渡って開発されてきたこの新しいゲームは、もともとはBossa Studio内の「ゲームジャム」と呼ばれる一種の内部ハッカソン(多くのスタートアップたちが日常的に開催し、新しいアイデアを生み出そうとするイベント)から生み出されたものだ。

まず第一に挙げておきたいことは(そしてTechCrunchの読者にとっておそらく最も注目に値するのは)、これはImprobableのSpatialOSの上に構築された初のゲームだということだ。SpatialOSとは、従来のサーバーアーキテクチャの限界を超える必要のあるゲームやその他の仮想環境を構築するためのクラウドベースのプラットフォームである。

Improbableは昨年5月に、10億ドル以上の評価額の下に、Softbankならびに既存の投資家たちから5億200万ドルという驚くべき額の資金を調達した。それゆえに図らずも、多くのことがWorlds Adriftの出来いかんにかかることとなった(訳注:Improbableには「ありそうもない」という意味がある)。

Bossa Studiosチームにとっては、賭け金はさらに高い。Improbableのテクノロジーはまだきちんと実証されておらず、Bossa Studiosはゲーム業界での名声はあるものの、比較的小規模で資金も少ないなかで、より大きな課題に挑戦しようとしているからだ。

創業者の2人、Roberta LuccaとHenrique Olifiersとのビデオ会議では、彼らは明らかに今回の発表に興奮してはいたものの、発表前の大いなる緊張に関しては認めていた。数年前のゲームジャムでWorlds Adriftのコンセプトが生まれた時には、会社の規模に対してあまりにも野心的過ぎるという理由で、無期限に棚上げにされていたのだ。

それからしばらくしてImprobableとのミーティングの機会が生まれた。説明によれば、2つの若い会社が同じ広告代理店を介して偶然にもお互いを知ったからだということだ。このことで、実現可能性が明らかになった。これからの数週間もしくは数ヶ月のうちに、Bossa Studiosは、スタートアップのリソースの全てを注ぎ込む事を意味する最大の試みが、成功したか否かを知ることになるだろう。

LuccaとOlifiersが説明した、初の試みの1つは、これが真にオープンエンドで、コミュニティ主導型の、永続的な規模のゲームだということだ。近年の「メイカー」(もの作り)トレンドに乗って、Worlds Adriftの初期テスターたちは、ゲームそのものをBossaのIsland Creator(島作成)ツールを使って形作って来た。これにより1万点ものデザインが提供され、Worlds Adriftは300もの「浮き島」と共に始まることになった。これらの島のほとんどはBossa Studiosのスタッフではなく、コミュニティによって作成されたものだ。

そしてSpatialOSのスケーラブルな性質によって、Worlds Adriftのすべての側面は「永続的」なものとなった。すなわち、ある物体の物理的な状態は、プレイヤーもしくはゲーム自身が提供する物理学との相互作用によって、リアルタイムに決められて行く。たとえば、船が爆破され、その破片が地面に散らばった場合には、他のプレイヤー、オブジェクト、あるいは環境がそれを動かさない限り、いつまでも破片はその場所に留まり続けるのだ。

さらに、SpatialOSを採用したことで、プレイヤーは地域や特定のサーバー群との距離に基づいたグループに分かれる必要がなく、皆同じ世界で同時にプレイすることができる。

「世界中のすべてのプレイヤーが相互にやりとりをできるようになり、各プレイヤーのあらゆる行動は永続的な影響を与え、ゲーム内の他のすべてのプレイヤーからずっと見え続ける」というのがBossa Studiosによる説明である。

Worlds Adriftが立ち上がるにつれて、際限なく規模が拡大し、プレイヤー同士のゲームプレイが急激に増加していく中では、作成者といえどもその動きがうまくいくかどうかはわかならい。

「事前に書かれたスクリプトは全く存在しないプレイスタイルで、そのスコープに限界はなく、美しいデザインと共に、完全にユーザーの手によって作られた環境を提供するこのゲームは、実験への招待なのです。制約は物理法則だけ。可能性は無限です」というのがゲームの売り文句だ。

私はゲームを(まだ)プレイできていないことは指摘しておかなければならない、これはWindowsで実行されるのだが、私はMacしか持っていないからだ。とはいえBossaは私を、Worlds Adriftならびにメイカーたちとより緊密な時間を持つことができるように、次回のゲームジャムに招待してくれた。もしジャムに参加したならば、私が提案したいアイデアは、帽子を被った車椅子の主人公が登場するアドベンチャーゲームだ。物資が不足し、官僚主義がはびこり、政府の歳出も切り詰められたディストピアの未来で、テックジャーナリスト兼私立探偵として働きながら行動するのだ。大当たりしそうな気がする。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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