本日(米国時間4月11日)公開されたBotlistは、ボット専門のアプリストアを目指し、Eメールやウェブ、SMSやSlack、モバイル端末やアプリといった様々なプラットフォームに対応した多数のボットを掲載する、サードパーティーデータベースだ。
FacebookによるMessengerへのチャットボット導入に始まり、MicrosoftによるSkypeへのボット導入や、マルチプラットフォームのボット開発者向けツールの提供、更にはKik、LINE、Telegram、Slackといったコミュニケーションアプリ内のストア上に登録されている多数のボットに見られる通り、ボット熱の高まりには疑いの余地が無い。
何故アプリではなくボットなのか?
まず第一に、成熟市場のモバイルアプリストアは既に飽和状態にある。調査によると、常時新しいアプリがストア上に登場する一方、多くのユーザーがひと月に新しくダウンロードするアプリの数はゼロに近い。彼らは、Facebook、Youtube、Gmail、Maps、Instagramといった、 既にインストールしたアプリで概ね満足しているのだ。
また、多くのモバイルアプリが、モバイル用ウェブサイトよりも利用しやすいと言われながらも、使用頻度がとても低いことから、そもそもスマホにアプリをずっと保存している事自体にあまり意味が感じられなくなっている。
一方、ボットはSMS、iMessageなどのチャットアプリやSkypeやSlackといった業務用コミュニケーションアプリなど、既存のプラットフォーム上にいるユーザーに対してサービスを提供することができる。
実際に、熱狂的なボットファンであるMicrosoft CEOのSatya Nadella氏は、今年3月に開催されたMicrosoftの開発者カンファレンスBUILDにおいて、ボットのことを「次世代のアプリ」と呼んでいた。
ボット専門アプリストア Botlistの何が特別なのか?
Botlistの共同製作者であり、Product HuntのコミュニティマネージャーでもあるBen Tossell氏は、Botlistの基本理念は一元化されたディレクトリを提供することだと説明する。(当然のことながらBotlistは、本日のProduct Hunt上にあるリストのトップに掲載されている)
「現存するディレクトリの全ては、各プラットフォームに属しているため、プラットフォームによる縛りなしに、情報が集約化された場を提供することに意義があると考えていました。私達のサイトを利用することで、ユーザーは様々なプラットフォーム上で利用可能な、種々のボットをみつけることができます」。
Tossell氏は、今年1月には既にこのアイディアを思いついていたと語る。フリーランス開発者のMubashar Iqbal氏とソフトウェア会社でクリエイティブディベロッパーとして勤務するSeth Louey氏と共に週末のサイドプロジェクトとして製作したという。全員が本業の傍らではあるものの、これからもBotlistの開発に携わっていく予定だ。
公開直後の現在、Botlistには、Slack、Telegram、Kik、Messengerといったサービスの他、SMS、iOS、Android、Eメール、ウェブといったプラットフォーム上で利用可能な400ものボットが掲載されている。各ボットは、掲載前に人の手によってレビューされており、掲載申請自体は無料であるものの、7日間の特急ボットレビューには50ドルかかる。(どうやらボット熱は本物のようだ。)
Tossell氏によると、この料金形態は将来的に変更する可能性があり、更に創立者の3人は、Botlist上の「特集」セクションへの掲載に対する課金を検討している。
現状から判断すると、BotlistはまだMVP(必要最低限の機能)レベルといえる。というのも、まだバグが発生する可能性もあれば、多くの機能が開発中かまだ固まっていない。
また、提供元である正しい「ボット」ストアにリンクされていないボットも存在する。例えば、Slack用ボットのいくつかは、ボットが掲載されているSlack内のアプリストアではなく、Slack自体のホームページへリンクされており、その逆のケースもある。
このような一貫性の無さから、Botlistを「本物の」アプリストアとして利用することは難しい。つまり、ワンクリックでボットのインストールページへと移動することはできないのだ。
ディレクトリ自体もコンテンツの観点からは必要最小限であり、ボットに関する簡潔な説明書きの他、写真やスクリーンショットに加え、ページ下部にレビュー用のセクションが用意されているだけだ。中には、単にProduct Hunt上にあるボット紹介ページ(リンク付)のスクリーンショットが載せられているものもあり、実際の動作が確認できる画像に比べて、あまり気が利いているとは言えない。
ボットはカテゴリー(生産性、マーケティング等)毎に整理されている他、プラットフォームでのフィルタリングも可能だ。言い換えれば、今の状態ではシンプルなディレクトリ以上でも以下でもない。
ただし、製作者にとってはサイドプロジェクトであったとしても、Botlistの存在自体が、現在発展途上にありながらも盛り上がりを見せているボットのエコシステムや、今日一般的といえる、プラットフォームをまたいで利用可能なボットを見つけるための系統立ったリソースへの需要を証明している。
この度の公開を機に、製作者たちはBotlistの今後の開発に関するユーザーからのフィードバックを積極的に受け付けている。Botlist上のコミュニティから早速寄せられたアドバイスのひとつには、ボットの開発者自身に紹介ページの編集権限を与えるというものがあった。これによって、開発者たちは自分たちのボットに関するページをデザインしたり、もっと目的にあった画像を掲載したり、訪問者をボットのダウンロードリンクへ、より確実に誘導したりすることができる。
しばらくの間はチームで毎日サイトを更新して、新しいボットを順次掲載していく予定だとTossell氏は言う。
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(翻訳:Yukutake Atsushi)