Bumbleの新規上場について、2021年2月第1週の注目すべき話題

【Japan編集部注】本記事は米国時間2月9日に公開されたものとなる。

公開市場は最近極めて活況を呈しているため、この強気な市場に新たに1企業が上場することになってもさほど大きな注目は集めにくい状況だ。しかし、Bumble(バンブル)は例外である。上場を控えたBumble(女性が最初にメッセージを送ることで知られる出会い系アプリ)は注目に値する。

出会い系スタートアップの市場は、誰もが知る創業11年の老舗で業界最大手のMatch Group(マッチ・グループ)に席巻されてきた。ダラスに本社を置くMatch GroupはTinder(ティンダー)、Hinge(ヒンジ)、OkCupid(オーケーキューピッド)といった人気の出会い系ブランドを所有しており、出会い系スタートアップの唯一のエグジットポイントと見る人もいる。

Whitney Wolfe Herd(ホイットニー・ウォルフ・ハード)氏によって創業されたBumbleは、上場することによってこの図式を変えようとしている。Bumbleは、株式公開直後に10億ドル以上を調達することを目指している。同社の希薄化後の評価額は、57億3000万ドル(約6013億9000万円)~61億4000ドル(6444億3000万円)になると思われる。

Match Groupに会社を売却するという典型的なエグジットを拒否することをBumbleが選んだことは、パンデミックの最中の孤独感が大衆に影響を与え続けている中、ウォルフ・ハード氏が強気であるということ、また出会い系アプリのエグジット環境が売り手市場であることを示している。

Cleo Capital(クレオ・キャピタル)のSarah Kunst(サラ・クンスト)氏(Bumbleの前シニアアドバイザー)は、Bumbleはいくつかの点で歴史を作っており、「この業界での今後の資金調達と起業に大変動を引き起こすことになるだろう」と話す。

「会社を上場に導いた最も若い女性として、ホイットニーは、出会い系ビジネスが、高い利益が見込める急成長分野であることを証明した」とクンスト氏はいう。「彼女は、シリコンバレー以外で創業したこと、創業者が女性であること、経営幹部が男女同等であることなど、テック業界で起こりつつあるさまざまな変化の先駆者だ」。

このトピックについては来週、TechCrunchとExtra Crunchでも取り上げる予定だ。この記事では、今週起きたその他のニュースをおさらいしよう。筆者のツイッターのフォローもお忘れなく。さまざまなニュースを毎日随時ツイートしていく。

パンデミック時代の評価額

評価額とは、投資家が考えるスタートアップの価値であって、それ以上でもそれ以下でもない。スタートアップの世界で、大量のエグジットや大型のIPOなどの大きなイベントが起こると、その関連分野のスタートアップの評価額が高騰することがよくある。

注目ポイント:今週、TechCrunchではEdTechでもこの評価額の高騰が起こっているかどうか調べた。十数人の投資家たちによると、EdTechでは評価額の高騰は起こっていないという。筆者にとっては驚きだったが、ベンチャー投資家たちにはその理由について彼らなりの考えがあるようだ(それに、エグジット続きで活気づいているように見える)。

その他:この調査によって、フィンテックやeコマースなど、パンデミックによって活況を呈しているEdTech以外の分野に対する投資家の評価とランクづけについても重要な情報が得られた。つまり、実際の資金の動きよりもノイズのほうが大きいということのようだ。

スタートアップの流動性の問題に取り組むCarta

デモデーに騙されてはいけない。ベンチャーキャピタルは大規模で迅速に調達できるが、エグジットまでに要する時間は長い。しかし、もしあなたが2014年に上場するはずだったスタートアップに投資したエンジェル投資家なら、さすがにしびれを切らして、そろそろ資金を返してほしいと思うかもしれない。

Carta(カルタ)は、スタートアップが、エグジット前の追加発行分の株式を取引することにより、早期に流動性を確保できるようサポートするソリューションの実現に取り組んでいる

注目ポイント:数カ月間さまざまな憶測がなされたツールCartaXが、今週ついにリリースされた。リリースにあたって、カルタは資本政策表に記載されている約1億ドル(約105億円)分の自社株を売却した。これは、ポストシリーズFラウンドの最終評価額の2倍以上に相当する。

その他:もちろんカルタは、その資本政策表管理ビジネスによって、試行錯誤の末に失敗した他社の轍を踏まないよう自社ビジネスを成功させたいと考えている。以下にDanny Crichton(ダニー・クライトン)氏の話の一部を抜粋する。

流動性スタートアップの急増には2つの問題があった。1つは規制、もう1つは資本政策表に会社情報とその会社の現在の財務状況が記載されていなかったことだ。株式購入者は株を購入するとき、基本的にわけも分からずに購入していた。一部の投資家は喜んでそうしていた。だが、その当てずっぽうのやり方によって、追加発行株式の市場での需要が著しく低下していた。

画像クレジット:JaaakWorks/iStock/Getty Images

ストーリーを語る技術

日常的に起こる雑事からストーリーを編み出すことが自然にできないとしても、驚くにはあたらない。それは、1つ1つの言葉で何を伝えたいのかはっきりとわからないままストーリーを書くようなものだ。しかし、難しいからといって必要性が低下するわけではない。

注目ポイント:取材記者相手のプレゼンであれ、資金調達が目的であれ、創業者は自身のスタートアップのストーリーを上手に伝える方法を習得しておく必要がある。アーリーステージの創業者のためのバーチャルイベントであるExtra Crunch Liveの最新版では、さまざまな実例を紹介している。

「我々は、これらのオープンソースプロジェクトを構築して良いソフトウェアを作成することだけに集中してきた。当社が語るべきストーリーについてなど、考えたこともなかった。数年が経過し、状況はずいぶんと良くなり、ビジネスを考案し、発展させていくうちに、当社が語るべきストーリーが自然と、より明確に見えてきた」とGrafana(グラファナ)の共同創業者兼CEOのRaj Dutt(ラジ・ダット)氏はいう。

その他:アドバイス関連の話をもう1つ紹介しよう。シリコンバレーの編集者Connie Loizos(コニー・ロイゾス)氏が書いた、あるインシュアテックスタートアップが自社のアイデアを自身の支援ベンチャーに盗まれた経緯に関する警告的な記事だ。この記事を読んで気分が重くなったら、気分直しに、筆者が書いたこちらの記事を読んでみてほしい。ある女性がわずか1年足らずであるスタートアップのユーザーから最高幹部にまでなった話だ。

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背景にぼかしの入ったマイクの写真

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画像クレジット:Bumble

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

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