2011年にGogoroは5000万ドルを調達した。3年後にさらに1億ドルを調達。しかし誰もGogoroが何をしている会社か分からなかった。
今日までは。
これほど長い間秘密をほぼ完全に守り通すことができたとは驚くべきことだ。そして今朝、CESで正式発表があった。実はわれわれは数週間前に取材を許されていた。
昨日までGogogroについて知られていたのは次のような点だけだった。
- なにかエネルギー関連の事業である
- HTCに関連が深い。エンジニアの多くはHTCから来ている。共同ファウンダーの1人、Horace LukeはHTCの最高イノベーション責任者を2007年から2011年まで務めた。1億5000万ドルの資金の相当部分はHTCの女性会長、Cher Wangの出資。
一言で要約すれば、GogoroはSmartscooterと呼ばれる電動スクーターとユニークなバッテリーレンタル・インフラを開発していた。
スクーターとバッテリー・ネットワークは一枚のコインの裏表だ。ただしスクーターはバッテリー・レンタル・ネットワークを利用する最初のデバイスなのだろう。このネットワークを利用するさらに多様なデバイスが計画されてるに違いない。
バッテリーとGoStation充電ハブ
まずバッテリーから説明しよう。これがGogoroのコアとなる部分だ。
バッテリー自体はパナソニックの18650リチウム・イオン・セル(Tesla Model Sにも採用されている)を利用し、いくつかのセンサーが付加されている。バッテリー・ユニットのサイズは靴箱よりやや大きい程度で重量は9kg前後だ。
充電する際には専用アプリが最寄りのGoStation充電ハブの位置を示してくれる。GoStationのユニットは1.8mほどで、屋外に設置できる。 ユニットは写真のように横にいくつでも連結できる。
ユーザーは空いているスロットに空のバッテリーを挿入する。6秒すると、他のスロットから満充電されたバッテリーがポップアップする。ユーザーは専用アプリから事前にバッテリーを予約しておくことができる。
重要なのは、Gogoroのユーザーはバッテリーを所有するのではなく、あくまでレンタルするシステムだという点だ(家庭で充電することはできない)。
ただし、われわれが取材した時点ではバッテリー・レンタルの料金については未定ということだった。
当然ながらこのGoStationハブの設置数、設置位置がGogoroシステムが成功するか否かの鍵となる。当然ながらユーザーは充電のためにわざわざ遠くまで行きたがらない。カバーする都市圏のサイズに応じて十分な数のハブを設置する必要がある。Gogoroでは当初の設置場所としてガソリンスタンドを考えているようだ。しかし220Vの電力が得られる場所ならどこにでも設置は可能だ。
私の取材に対して共同ファウンダーのHorace Lukeは、「トラック1台分のハブで大学のキャンパスや小都市をカバーできる」と語った。
Smartscooter
GogoroのSmartscooterは、フレームから電気モーターまで完全にオリジナルだ。
時速30マイル〔48.2kmh〕までの加速が4.2秒、最高速度は時速60マイル〔96.5kmh〕だという。バッテリー2個を搭載し、満充電で100マイル〔161km〕走れる。スマートフォン・メーカーに関連が深いスタートアップの製品として予想されるとおり、このスクーターは名前のとおり非常にスマートだ。
このスクーターは30個もの自己診断センサーを備えており、スマートフォンを通じてクラウドに接続している。考えつくかぎりほとんどの故障は即座に探知、分析される。修理やメンテナンスが必要になれば、アプリにその内容が表示される。またバッテリーを交換するとスクーターのディスプレイにも情報が表示される。
一方でセンサーは最大の航続距離を得られるようユーザーにアドバイスする。たとえば坂道で無駄にスロットルを開けていると、そのことを指摘する。.
ロック、アンロック、バッテリー交換の認証はBluetoothLEを利用したリモートキーで行う。
さて、肝心の価格は? それはまだ検討中ということだ。
バッテリー充電ハブ・インフラの構築という大きなハードルを抱えているGogoroのような会社を現時点で評価するのは非常に難しい。しかし、 現在私の目に映った限りでいえば、このスクーターはすばらしい。今まで見た中で最高に美しいスクーターだ。専用アプリもよく出来ている。このスクーターの美しさには本当に感心した。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)