数週間前に本誌TechCrunchは、LinkedInの協同ファウンダーReid Hoffmanが、社会的正義のための署名運動プラットホームChange.orgに投資したことを報じた。
しかし、その後多くの関係筋から得た情報によると、その投資ラウンドの実態は、報じられた額よりも相当低い評価額で行われた資本再構成*であった。言い換えると、Change.orgの所有構造が大幅に変わり、これまでの投資家たちの保有分は今や極小である。〔*: 資本再構成, recapitalization, recap, 資本の構成を変えること, 資本再構築ともいう〕。
どうやらHoffmanが所有権の大半を保有するか、それに近い状態になるようだ。Bill GatesやSam Altmanのようなビッグネームも最近資本を貢献したが、彼らの所有権は形ばかり、と言われている。
この新たな所有構造により、Hoffmanは、そのほかの一部の投資家と並んで、売却を阻止するに十分な権限を持つ。彼らはChange.orgを公益企業(public benefit corporation)に変えて、個々の投資家による買収阻止をやりやすくする。
しかしHoffmanに、利益を得るつもりはない。同社のブログ記事によると、“Reidは、彼のチャリティへの投資の持ち分価値のいかなる増加をも寄付と見なす心算である”、ということだ。
関係筋の中には、これを“リセット”と呼ぶ人たちもいる。資本再構成という言葉がネガティブな響きを持つことを、おそれるからだ。ZenefitsやMuncheryも、その大きな苦難の時期に資本再構成を行った。
結局のところ同社は、もっとましな資金獲得オプションを見つけることができず、継続のために必要な資本が得られなかった、という。資本構成をオーバーホールしたことによって、Change.orgの生き残りが青信号になった。
Change.orgはその苦難の一部について率直だ。昨年晩くにはレイオフを行い、その後ビジネスモデルの変更を発表した。たとえば、署名運動の賛同企業にはスポンサーとしての支援を求めたが、最近ではクラウドファンディングによる収益獲得を目指している。
しかし業界観測筋の一部は、最近のラウンドに対するChange.orgの性格付けは誤解を招く、と言っている。同社の資金繰りを野次馬たちがどうけなしても関係ない、と思いたいところだが、もっと大きな懸念は、その資金繰りを肯定的にのみ説明することは、今および将来の社員に対して公正でないかもしれない。また、同様の道を進もうとするそのほかの起業家を、惑わすかもしれない。
資本再構成は、学習機会でもありえる。投資家にとっての教訓だった、とも言えよう。
いずれにしても、資本再構成は通常、スタートアップがチャレンジに直面しているサインであるけど、もっと良い道を見つけるチャンスでもある。これがChange.orgの前進を助け、最終的には株主たちに新たな価値をもたらすことも、十分にありえる。
このプラットホームが、多くの人びとの役に立ってきたことは、間違いない。2007年の創業以来、変化(change)を求める20000件あまりのキャンペーンに、2億近くの人びとが署名を提供してきたのだ。