CiscoがAIと機械学習を用いてITの障害予測を助ける

私たちはITシステムから送られてくる通知の数が、人間が追跡できる能力を上回ってしまうことがあることを、もう何年も前から気が付いていた。これまでも機械がそれを助けて来た。そして人工知能や機械学習の出現が、その能力を加速している。本日(米国時間10月17日)Ciscoは、そうしたテクノロジーを用いて、重大な問題が起きる前に、顧客が不具合を発見することを助けることを発表した。

Ciscoのソリューションは、AIを使う他の企業たちのものと似ている。そして機械学習が人間の能力を拡大し、システムから送られてくる膨大な情報をふるいにかける支援をするのだ。今回同社は、こうしたニーズに対応するために、2種類のサービスセットを用意した。

第1のものは“Business Critical Services”という名前で、分析、自動化、コンプライアンス、そしてセキュリティツールを統合したものだ。名前だけを聞けば特に目新しいものではないだろう。これらを使ってシステムの健康を追跡するのだ。Ciscoによれば、顧客のシステムダウンのリスクを軽減しつつ、最も重要なビジネスサービスを追跡する際の複雑性を、軽減してくれるということだ。

この種の追跡サービスは、Ciscoが今年始めに37億ドルで買収したAppDynamicsが提供しているものと同じである。今回のサービスがAppDynamicsの資産から開発されたものかどうかははっきりしない。しかしこれは彼らがビジネスの構築に使っていた種類のモニタリング機能だ。

第2のサービスセットは“Cisco High Value Services”と呼ばれるものだ。顧客のIT部門に対して、ソフトウェア、ソリューション、そしてネットワークサポートの観点から、より親密なサービスを提供する。

IDCのChris Barnardは、こうしたサービスは、近代化プロセスに苦労している企業たちが、たとえ社内の専門知識が欠けていても、最新状態を保つことができるようにするものだと語る。「ビジネスシーンがあまりにも速く変化してしまうために、デジタルトランスフォーメーションに追従することが、一部の企業にとっては難しいものになっています。その結果、彼らはスキル、専門知識、そして能力を持つ大きなベンダーパートナーたちに頼り、この人材ギャップを埋めようとしているのです」とBarnardは、ある声明の中で語っている。この場合、その大きなベンダーパートナーとは、Ciscoということになるだろう。

Ciscoはこれらのプロダクトを企業向けだとしているが、IoTビジネス全体が、不具合の発生以前にそれを予測するというアイデアの上に構築されるものである。これまでも、Splunkのような会社がAIと機械学習を利用し、ITシステムからやってくる沢山の通知をフィルタリングして、担当者に予測と報告を行っていた。これはDataDogやNew Relic(AppDynamicsの競合相手)のような、パフォーマンスモニタリング会社が提供していたものと同様のものである。

Ciscoは最先端テクノロジー、ネットワークハードウェアの専門知識、そしてネームバリューを使って、変化する技術環境への対応に苦しむビジネスたちを支援しようとしている。

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(翻訳:sako)

FEATURED IMAGE: JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES

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TechCrunch Japan

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