College Cashを設立したダラスの起業家が学資ローンの返済に苦しむ人々を支援するために奮闘中

Demetrius Curry(デメトリウス・カリー)氏はこの数年間、夢を追いかけてきた。

彼の起こしたスタートアップCollege Cash(カレッジ・キャッシュ)では、企業がユーザーに頼んで、自社の製品やサービスを強調する写真や動画のマーケティングコンテンツを作成してもらうことができるのだが、コンテンツの作成者は、学資ローンの借金返済に直接つながるクレジットというかたちで企業から報酬を得る。このモデルは、関係する企業に社会的な善意と税制上のメリットを与えるものだ。

ダラスに住む創設者のカリー氏は、彼の娘が最終的に自分で学資ローンの借金を返すことになるだろうと話すのを聞いて、学資ローンの借金問題に取り組むことを思いついた。それからカリー氏は2年間を費やして新たなプラットフォームを構築し、パートナー企業を探し出し、アクセラレータープログラムを利用して、ユーザーを惹きつけ、彼のビジョンに賭けてくれる投資家を根気よく探しだした。

College Cashはこれまでに10万5000ドル(約1100万円)を調達しており、最終的にはシードラウンドで100万ドル(約1億500万円)の資金調達を目指している。

スタートアップのエコシステムに流入する資本が歴史的に高いレベルにある中でさえ、チャンスを見つけるために度々苦労してきたカレー氏にとって、このラウンドで資金調達することは独自の困難があった。VCの投資先としてまだわずかなパーセンテージを占める黒人の起業家に対する差別は、これまであまり目立たなかった。2020年の夏に起きた警察の暴行に対する抗議行動の余波で、多くのベンチャーキャピタル企業が制度的人種差別を非難し、より多くの恵まれない起業家を支援することを約束する声明を発表し、多様な起業家のための新たなプログラムを立ち上げた。

College CashのCEOであるデメトリウス・カリー氏

カリー氏は、問題の規模や発言をしている人の善意は理解しているといいつつ、「十分なサービスを受けていない」創業者の定義について、ベンチャーキャピタルのネットワークはまだ学ぶべきことが多いと考えており、既存の取り組みの多くは、同氏にとって「リップサービス」のように感じられるとのこと。

シリコンバレーは相変わらず名門大学の中退者を崇拝し続けているが、貧困の中で戦ってきた創業者や、機会の少ない地域で機会を見つけてきた創業者の功績を認めることに対して、出資者の関心は低いと、カリー氏はいう。

「同じ場所を探していても、何か違うものを探すことはできません」と、カリー氏はTechCrunchに語った。「『恵まれない創業者』というトピックを見るとき、それは肌の色だけではなく、その人がどこから来て何を経験してきたのかということも重要なのです」。

カリー氏によると、投資家がそのパラメータを適切に調整しようとしない場合、アーリーステージの機会を競い合う際にはいら立たしい思いをすることがあるという。カリー氏が特に不満を感じているのは、多様な創業者を対象としたプログラムに参加するためにさえ、「温かい紹介」を求めなければならないことや、「恵まれない」創業者を対象としたアーリーステージプログラムに応募しても、応募資格がないと言われてしまうことだ。

「私達がここまで来るのに、どれだけの苦労が必要だったか考えてみてください」と、カリー氏はいう。「私はウェブホスティング料を払うために血液を売ってきました。何も私を止めることはできません」。

学資ローンの負債に苦しんでいる人々に、返済の機会を拡大するというCollege Cashの使命は、学業に戻れたことで人生の好転を経験したカリー氏にとって他人事ではない。

数十年前、軍を退役したばかりのカリー氏は、Hardee’s(ハーディーズ)で食事をしているときに見知らぬ人と無作為な会話をしたという。彼が人生にもっと望んでいるものは何かということについて話し合ったこの議論は、彼が学業に戻ってGED(後期中等教育修了程度認定試験)に合格し、後にビジネスの学位を取得するための後押しとなった。その後、金融業界でキャリアを積み、最終的にはCollege Cashを設立して起業家としての目標を追求することにつながったのだ。

College Cashは、現時点では明らかに初期段階のベンチャーだが、カリー氏はこの先に向けて大きな野望を抱いている。彼の次の取り組みは、College Cashのチップ機能をギグエコノミーのプラットフォームと統合すること。その目的は、ユーザーである企業が労働者の学生にチップを渡せるようにし、その人の学資ローンの返済に直接お金を回すことができる仕組みを作ることだ。

カリー氏によれば、College Cashのチームは、この統合を試験的に実行するために「全国のギグエコノミープラットフォーム」と協力し、そのお金が学資ローンの返済に使われることを知った企業はチップを支払う可能性が高くなることを示すフォーカスグループを行っているという。

カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:DNY59 / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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