不動産管理会社と借主のやりとりを効率化するプラットフォームを提供しているCozyは、本日(米国時間8月30日)850万ドルのシリーズBをクローズした。American Family Venturesがリードインベスターとなった今回のラウンドには、Social CapitalやGeneral Catalystのほか、2012年に行われた同社の150万ドルにおよぶシリーズAに参加した全ての投資家が再度参加していた。
私たちの家が日に日に”スマート化”していく中、住宅の賃貸手法はスマートと呼ぶには程遠い。多くの不動産管理会社は未だに私用のメールアドレスを利用して借主と連絡をとっているばかりか、物件広告はさまざまなウェブサイトに散乱しており、両者のやりとりは良くて毎回異なるプラットフォーム、悪ければ特定のプラットフォームを全く利用せずに行われている。
Cozyは、家主の賃貸物件管理を簡素化するほか、借主が物件を探すときや、家主と連絡をとる際の手間を省くようなソリューションを提供している。同社のサービスは、毎月発生する賃貸料の支払プロセスを効率化し、借主のバックグラウンドチェック用のツールも備えている。
「Cozyのユーザーが、セットアップを済ませてサービスを利用し始めた後、1年間ほどサインインしない場合があります」とCozyのCEO兼共同設立者のGino Zahndは語った。
このようなユーザーの動きは、ほとんどのスタートアップにとって恐るべき事態だが、Cozyにとっては、賃貸契約の締結こそ同社のサービスが解決するために存在する問題なのだ。
Zahndによれば、不動産管理ソフトウェアは大きく2つの市場に分けて考えることができる。全体の25%の企業が、たくさんの不動産からなるポートフォリオを管理している一方、残りの75%は20件以下の数の不動産しか管理していない。ZahndがローンチしたCozyは、後者のグループをターゲットとしているのだ。
マーケティング予算無しに、Cozyは7万5000の家主と10万の物件をプラットフォーム上に登録させることができた。広告枠を購入する代わりに、CozyはLandlordologyというスタートアップを買収していたのだ。彼らのサービス内容は、端的に言うと不動産管理をしたい人用のKhan Academy(無料オンラインスクール)のようなものだ。Cozyの無料プラットフォームにとって、家主こそがユーザー数を増やす上で重要な存在であったことから、同社の成長の初期段階で買収という選択をとったのは納得がいく。家主がCozyを利用しない限り、借主もCozyを利用することはなかったということだ。サービス利用料は無料のままだが、特定の機能をマネタイズするための計画によって、元々の顧客獲得戦略には変更が発生している。
Cozyは、現在4つある収入源のひとつである賃貸料で、年に5億ドルもの金額を決済している。さらに同社は家主向けの新たな早期支払サービスのほか、信用情報レポートやバックグラウンドチェック結果の販売を行っている。物件ごとに月額2.99ドルを支払えば、家主は自動で通常5日以内のところ、2日以内に賃貸料を受け取ることができる。さらに家主は、決済情報を簡単に直接QuickBooksかExcelへエクスポートすることができる。これらの追加機能を利用して、Cozyは借主と家主どちらにもアプローチすることができるのだ。
前述の戦略のほかにも、本日発表されたAmerican Family Insuranceの戦略的ベンチャー投資部門であるAmerican Family Ventruesからの投資は、借主や不動産管理会社の持つ保険関連ニーズを満たすためのサービスを、Cozyが将来的に開発していくことをハッキリと示すサインだと考えられる。
既に価値のあるデータの集合体を保有しているCozyに保険機能が備われば、ゆくゆくは借主と物件を直接マッチさせるような新たな機能を生み出すことができるだろう。Zahndも、同社がプラットフォーム上で集めたデータを利用することで、最終的に借主と家主、両者のための新たなサービスを創出することができると考えているものの、同時に彼は、直近のロードマップにはまだそのようなデータを利用したサービスは描かれていないと述べた。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)