Crowdfunderが一般投資家向けVCインデックスファンドを立ち上げ

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Andreessen HorowitzやGreylock、500 Startupsといった名高いベンチャーキャピタルと肩を並べて投資活動を行いたいと考えているエンジェル投資家に遂にその機会が訪れた。Crowdfunderは本日(米国時間4月7日)、世界初のベンチャーキャピタル「Index Fund(インデックスファンド)」を発表した。これによって潤沢な資金を持っていない投資家でも投資リスクを分散しながら単独では参加しづらい大規模な投資に参加できるようになった。

もしシードステージにある将来有望な企業をみつけることができるのであれば、大金を手にできる。だが、そもそも何よりも難しいのはそのような企業を見つけ出すことだ。膨大な数のスタートアップ企業のうち、その殆どが志半ばに事業停止となる。生き残った企業の中でも、ほんの一握りがようやくユニコーン企業になる。そのような厳しい環境のなか、資金力に欠ける投資家はどのような選択をすべきなのだろうか?

そのような問いに対し、株式投資の世界には1つの解決策がある。投資する株式の選定に自信の無い投資家は、S&P 500Dow Jones Industrial(ダウ平均)などの株価指数と連動する、多数の企業の株式を含む投資信託を選べばいいのだ。これは、株価が連動している企業全てに対して投資をしているようなもので、個々の企業の業績に左右されず、投資リスクを分散することができる。言い換えれば、対象となる500社の業績が平均して向上してさえいれば、投資額に応じた利益を得ることができる。

Crowdfunderが発表したIndex Fundはこの仕組みを踏襲しながら、投資家に対してリスクを分散しつつも広範囲に渡る投資機会を提供する。投資対象は300ものアーリーステージにある企業だ。ほとんどのベンチャーキャピタルファンドが投資期間が終わるまでに平均して30社に対して投資を行うとすると、このファンドはその10倍もの分散投資を実現し、ポートフォリオリスクを大幅に低減することができるとCrowdfunderは言う。

Crowdfunder.comでは、既に500 Startupsを含む有名投資会社と同じフィールドに立って投資を行う事ができるが、この度発表された新たなファンドによって、駆け出しエンジェル投資家が持つポートフォリオの分散化することが容易になる。

Crowdfunderは今回のファンドをWin-Winと形容している。投資家はCrowdfunderのプラットフォームで他所では見られないような取引に参加できる上、それぞれの取引はベンチャーキャピタルの専門家によるデューデリジェンスを経て事前に精査されていて、リスクが低くなっている。投資を求める企業にとっても調達できる資金が豊富にあり、資金調達の期間を短縮することができる。そしてベンチャーキャピタルにとってもリスクが減り、自分たちの資金だけでは担えない投資ラウンドを完了させることができる。

500 Startupsの共同設立者Dave McClure氏は「Crowdfunderが、巨大ポートフォリオを組成し、数でリスクを分散させるという戦略をとったのは素晴らしいことです。この投資戦略は500 Startupsという名前からも分かる通り、私達の信条でもあります。」

Chance Barnett and Rafe Furst, co-founders of Crowdfunder

Chance Barnett氏とRafe Furst氏、Crowdfunderの共同設立者。

本日、Crowdfunderは新たなファンドのほか、ベンチャーキャピタル界を牽引するDraper AssociatesとDFJの共同設立者であるTim Draper氏を、ファンドアドバイザーとして迎えることを発表した。

「VC Index Fundは従来のどんなベンチャーキャピタルファンドを超えてスケールする力を持っているという点で特異な存在です。これは低いポートフォリオリスクでより高い収益を上げることに繋がる可能性を秘めています。」

Index Fundへの最低投資額は10万ドルとなっており、Barnett氏は殆どの投資額が10万ドルから50万ドルの範囲に収まるであろうと語る。

分かりづらいが、このIndex Fundは具体的な指標を連動していないということから、厳密な意味では指標連動証券には含まれない。しかしCrowdfunderは「当ファンドは市場の取引動向を反映したものになることを志向している」と強調する。

名前はどうあれ、考えぬかれたベンチャーキャピタルに並んで富裕層が自らの資金を投じることができるようにすることで革新が起きるかもしれない。熟練投資家はCrowdfunderの次の一歩に注視することで良い投資成績を収めることにつながるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake)

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TechCrunch Japan

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