昨年12月、WELQに端を発したキュレーションメディアの問題が記憶に新しいDeNAだが、デジタルメディア領域での再起の道を検討し始めたようだ。本日、DeNAは小学館と共同でデジタルメディア事業を検討するための基本合意を締結したと発表した。
この基本合意では、DeNAと小学館の両社でデジタルメディア事業の創出と運営を検討し、編集体制や記事作成フローの研究を行うという。DeNAはプレスリリースで以下のように発表した。
新規にデジタルメディア事業を創出・運営することについて共同で検討を開始します。検討においては、両社でデジタルメディアのあり方一般について、編集体制、記事内容のチェックなどを含む記事作成フローの研究を進めていきます。
また、DeNAが多くのサービス開発・運営で得たノウハウや、小学館のもつ編集に関するノウハウを双方のサービスに活用することも視野に入れてまいります。
このリリースにも記されているが、DeNAのキュレーションサイト問題で問題となったのは編集と記事作成の体制だった。特にヘルスケア情報のキュレーションサイトWELQはクラウドソースサービスなどで大量に記事作成を発注し、健康に関わる重要な情報にも関わらず、記事の品質を担保していなかった。そして記事のSEO対策により、低品質な記事が検索エンジンの上位に表示されたことで、ユーザーに誤った情報を提供していたことが騒動の発端となった。
2017年3月にDeNAがWELQ問題に関する記者会見を開いた時、同社の代表取締役会長を務める南場智子氏は「(キュレーション事業を)同じ形で再開することはあり得ず、どのような形であればありえるのか。メディア型にしても、編集体制、校閲体制、教育体制など社外の専門家に話を聞くと、非常に奥が深く、経験のない我々が形だけ整えてできるものではない」と発言している。同じ過ちを繰り返さないためにも、今回は老舗出版社と手を組み、新たなデジタルメディアのあり方を模索するつもりのようだ。
今回のDeNAのプレスリリースには「本件を踏まえたDeNAによるデジタルメディア事業の実施有無については現在未定です」とあり、具体的な話はまだ決まっていないそうだ。DeNAの広報担当者も「両社の強みは異なり、検討内容や検討する時期などに関してもこれから洗い出す段階です」と話している。