仮想通貨から英会話までさまざまなビジネスを展開するDMM.com。同社は2月21日、これまで同社が展開してきたアダルト事業を2018年3月1日をもって分社化すると発表した。当該事業は、2017年12月26日付けで設立された新会社デジタルコマースに承継される。
分社化にいたった背景としてDMM.comは、「2018年には、グループ創立20年となり、企業として節目となる年を迎えるにあたり、グループ全体の企業価値の最大化を目的に、この度、成人向け事業の分社化を決定致しました」と述べている。
石川県のレンタルビデオ屋として開業したDMM.comは、2000年代からさまざまな事業へとビジネスの幅を広げてきた。近年ではスタートアップの買収にも積極的で、2017年にはクラウドストレージ「POOL」のピックアップや、音楽アプリ「nana」の開発を行うnana musicなどを買収してきた。なかでも話題になったのが、DMM.comによるCASHの買収劇だ。サービスを開始してから2ヶ月弱のスタートアップを70億円で買収するという、同社のスピーディーな買収手腕に注目が集まった。
そのDMM.comが、1990年代初頭から手がけてきたアダルト事業を分社化した。DMM.comグループ傘下の社名やサービス名には、「DMM〇〇」といったような“冠つき”のものが多い。そんななか、アダルト事業を承継する新会社には「デジタルコマース」という、一見するだけではDMM.comグループだと分からない社名がつけられている。そのことからも、同社が分社化によって企業イメージの変更を狙っているようにも見える。
そうなると気になるのが、DMM.comグループの上場だ。DMM.comのリクルートページには、2017年2月期の売上高が1823億円(ただしこれは分社化する以前の数字)とあることからも、同社が上場するだけの実力を備えた企業であることは確かだ。
TechCrunch Japanの取材に対し、DMM.comは「現時点で上場の予定はなく、今回の分社化は事業構造を明確化させるため」(広報部)と、現段階での上場の可能性を否定している。