今日(米国時間6/4)、Dropboxはエンタープライズ向けの新機能をいくつか追加したことを発表した。主として大企業ユーザーのDropbox for Businessに対する信頼感を高めるのが狙いだ。
Dropboxはエンタープライズ・ユーザーの獲得に苦闘してきた。たしかにDropbox for Businessのユーザー数はかなり増えており、同社によれば10万社以上で、MITやHard Rock Cafeなどの著名な組織が含まれるという。しかしライバルのBoxやEgnyteは早くからエンタープライズ分野に進出していた。Dropboxがエンタープライズ市場に参入するのは遅かったが、たゆまずビジネス向けツールの整備を進めている。
2週間ほど前にビジネス・ツール開発の責任者、Ilya Fushmanを失ったのはDropboxにとっては痛手だっただろう。FushmanはIndex Venturesに加わった。この1年Fushmanの右腕を務めてきたRob Baesmanが新しい責任者となる。
さて、今日Dropboxが発表した新機能は次のようなものだ。
特に目を引くのは2段階認証のサポートだ。セキュリティーの確保に神経を尖らせる大企業は、ユーザーのファイル・アクセスに2段階認証を強制することができるようになった。認証に失敗した場合、再認証の手順は自動的に案内される。システム管理のレイヤーは3段階になった。Baesmanによれば、多くの大企業が採用している管理方式にならったものだという。
また既存のフォルダーの共有管理が改良された。これまでこの点がやりにくいとしてユーザーから改善の要望が出ていた。Dropbox for Businessにデータ漏洩防止(DLP)やデジタル著作権管理(DRM)ツールをプラグインとして提供しているベンダーにとってはことに朗報だ。
共有フォルダーAPIは共有管理を直接かつ自動的に実行できるので管理者の手間を大いに減らす。たとえばDLPツールの場合、ユーザーが内規に違反して、たとえば社会保障番号などを共有しようとした場合、ツールが自動的にそのファイルアクセスをブロックできる。
さらにMicrosoftのActive Directoryへのコネクターが追加され、ユーザーはAPIを利用してActive Directoryにアクセスことができるようになった。これはActive Directoryを利用してユーザー認証を行っている大企業がDropbox for Businessを利用する際の導入作業を大幅に効率化する。
これらはいずれも単独では驚天動地の新機能というわけではないが、Dropbox for Businessが全体として着実に進化を続けていることの証左となるだろう。Dropboxはアップデートのたびに新たなAPIなどのツールを通じて、多くの大企業が利用しているさまざまな社内システムへの適合性を高めている。Dropobx for Businessは企業にとって魅力的な選択肢になりつつある。
Featured Image: Ian Lamont/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)