eコマースの支払いシステム統合を支援するフィンテック「Primer」が19.4億円調達

英国のフィンテック、Primer(プライマー)は、小売業者が支払いレイヤーを統合し、新たな支払い方法を容易に追加できるようにするサービスだ。このほどシリーズAラウンドで1400万ポンド(約19億4000万円)を調達した。ラウンドをリードしたAccelは、Primerに自社の資金を受け取るようかなり強く働きかけたといわれている。

若きスタートアップはこれまで積極的な資金調達を行っておらず、静かに380万ポンド(約5億3000万円)調達したことを5月に発表した(未訳記事)。同社はプロダクト開発と潜在顧客の獲得に注力すべく、100社の小売業者を対象に、技術ワークショップと詳細なインタビューをZoomで実施してきた。そんな活動が見過ごされることはなかった。

シリーズAには既存出資者のBalderton、AppedInvest、Seedcampに加え、新たな出資者としてRTP Globalが参加した。AccelのパートナーであるSonali De Rycker(ソナリ・デ・リッカー)氏はPrimerの取締役に就任する。

(PayPalのBraintree買収にともなう)元PayPal社員によって設立されたPrimerは、1つの支払いAPIで(願わくば)すべてを支配したいと考え、売り手の支払いスタック(支払いにともなうさまざまな階層)の透明性を高めることを明確な目的として掲げている。

大規模な小売業者、特に複数の地域で運営している会社はさまざまな支払い方法に対応する必要があり、その結果著しい技術負担と貧弱なユーザー体験や透明性の欠如が生まれているという考えだ。

Primerは、最近「ローコード」プラットフォームと呼ばれている仕組みにより、小売業者に代わって力仕事を引き受け、支払い方法に依存しない堅牢なサービスを提供している。市場に登場した新しい支払い方式をスムーズに導入するとともに、それぞれのチェックアウト方法がどのように利用されているかを明瞭に見渡せるようにすることが狙いだ。

同プラットフォームは支払いサービスプロバイダー(PSPs)としてだけてなく、不正防止、支払い取り消し、サブスクリプション請求エンジン、BI(ビジネスイン)ツール、ポイント・報酬プラットフォームなどのサービスとの接続も行っている。支払いサービス、非支払いサービスとも「ワークフローを通じてチェックアウト・支払いフローとスムーズに接続することで、売り手は不正行為の報告、高度なトランザクションルーティング、複雑なフローの解決などをコードを書くことなく統合できます」とPrimerは説明した。

追加の資金は国際ビジネス開発とチームの拡大に使うとPrimerはいう。リモートファースト企業を謳うPrimerでは、6カ国で23名の社員が働いていて、すでに欧州全体で中規模から大規模企業のeコマース業者の取引を扱っているといっている。

「PayPal在籍中、オンライン小売業者が全世界の顧客に最高の支払い体験を提供するために技術的な負担を強いられているのを目の当たりにしました。私たちのローコードアプローチは、小売業者の支払いチームが彼らの支払いエコシステムを拡張し、高度な支払いロジックを使い慣れたワークフローUIで維持できるようにするものです」とPrimerの共同ファウンダーでプロダクトおよび技術責任者のPaul Anthony(ポール・アンソニー)氏は語る。

同社プラットフォームのサービス開始からまだ数週間しか経っていないにも関わらず、新たな投資によってPrimerの総調達額は1780万ポンド(約24億7000万円)となった。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Primer資金調達

画像クレジット:Primer

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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