聴診器は数カ月後に200才の誕生日を迎える。医療に大きなブレークスルーがあった1816年から聴診器は今でも医者に訪れた際には必ず目にするものだ。聴診器は医療を象徴するものにもなっている。
この200年間、聴診器はほとんど変わっていない。今使用されているものは、17世紀に使用されていたものとさほど違わないのだ。心拍音を聞く方法はマニュアルなままで、心拍音の異常を判別するのは医者の耳を頼りにしている。
しかし、バークレーに拠点を置くEko Devicesというスタートアップのお陰でそれも過去のこととなるだろう。彼らが開発した機器は、Class Ⅱの医療機器としてFDA(アメリカ食品医薬品局 )に承認された。このように承認された中で、彼らが最も若いチームだ。共同ファウンダーのConnor Landgraf、Jason BelletとTyler Crouchは、カリフォルニア大学バークレー校を最近卒業し、200才になる医療機器にデジタルな機能を与えた。
Eko Coreと呼ばれるこの機器は、一般的な聴診器に付けて使い、クラウドに心拍音のデータをストリームするソリューションを提供する。これにより、医師は心拍音を分析するのにより豊富な情報を得ることができる。
「細かい心雑音を聞き取るのは難しいのです。心拍の速い患者を診断する場合は特にそうです」とLandgrafは言う。「心臓の専門医も、心臓の音を聞くのは音楽的な耳を培うのと一緒で、習得するには5年から10年の経験が必要です」。
Eko Coreを使用すれば、医師はモバイル端末から心拍音の音波を目で確認することができ、また音量を大きくして聞くことができる。視覚と聴覚の2つの側面からデータを記録することができ、それを他の医師や病院と簡単に共有することもできる。
医師が心雑音を検知し、心臓弁の問題、動脈の塞がりを当てずっぽうではなく、特定するために役立つのだ。
疑わしい心雑音のある小児科の患者の70%は心臓の専門医を受診する必要はないという。Ekoを使うことで、何万ドルとかかる不要な超音波心臓診断を避けることができ、節約にもつながるだろう。
「医師は聴診器による診断に自信がもてない状況に度々直面し、本来必要でないにも関わらず、心臓の専門医への受診を薦めています」とLandgrafは言う。
Ekoはスタンフォード病院とパイロット検証を行っていて、全員がEko Coreの機器を研修用ツールとして使用しているという。今日からEkoは、一般向けに機器単体を199ドル、聴診器とのセットを299ドルで自社から販売する。
これから数ヶ月、チームはEko端末で集めたデータを分析するアルゴリズムの開発を進める予定だ。このアルゴリズムで心拍音から病状をリアルタイムで特定できるようになる。「心拍音用のShazam」と医師の間では呼ばれているとLandgrafは言う。
「患者の身体を傷つけずに済む方法で、医師に患者の心臓で何が起きているかを伝えることができます。これは患者と医師を結びつける強力なツールです」とLandgrafはいう。「現在、患者の心臓の圧力を知るためにカテーテルを体内に入れる方法などがありますが、手術で切開しなければならず、効率的ではありません」。
病状を検知する機能は、来年のQ1内にローンチする予定だという。LandgrafはEkoから今後、患者の身体を傷つけずに医師が患者の心臓の動きを知ることのできる他のプロダクトも展開すると示唆した。
Ekoは2013年に創業し、これまでにスタンフォード大学のStartX Fund、FOUNDER.orgのファウンダーであるMichael Baum、Shazamの共同ファウンダーなどから合計280万ドルを調達している。
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