F Venturesが福岡市内にスタートアップ支援拠点——“地元発”の起業家が生まれる環境目指す

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東京と福岡を中心にして活動する新興独立系ベンチャーキャピタル(VC)のF Ventures。同社が福岡エリアのスタートアップの支援を強化する。F Venturesは2月16日、博多区のコワーキングスペース「The Company」内にスタートアップ支援拠点「FV Accel Spot」を設置したことを明らかにした。

以前TechCrunch Japanでもお伝えしたように、F Venturesはサムライインキュベートで経験を積んだ両角将太(もろずみしょうた)氏が、2016年4月に自身の出身地である福岡で設立したVCだ。現在までに7社へ出資を行っており、内訳は福岡拠点・福岡出身のスタートアップが3社、東京拠点が3社、サンフランシスコ拠点が1社。シード期のスタートアップを対象に1社当たり500〜1000万円程度の投資をしている。

FV Accel Spotではスタートアップ・大企業の相談を受ける窓口を設置するほか、イベントの定期開催や来福したスタートアップ関係者・学生起業家へのオフィスの一時提供、学生向け支援スペースの開設を通して、福岡のスタートアップコミュニティを盛り上げていくための拠点を目指していく。

設立以降スタートアップ向けのイベントやコミュニティ作りに力を入れており、2016年8月には福岡市が事務局を務める福岡スタートアップ・サポーターズ協議会の事業を受託し、スタートアップ発掘プログラムを開始。同年11月に開催されたフクオカ・スタートアップ・セレクションを始め、定期的に福岡のスタートアップとVCやをマッチングする機会を作り出している。

並行して取り組んでいるのが、大企業とのイベントやハッカソンを通じたオープンイノベーションの支援。「大企業のオープンイノベーションの波が出てきているが、九州ではまだまだ進んでいない。興味を持っている担当者の方は多いが、経験がなかったり周囲にも事例がなく一歩踏み出せていなかった」(両角氏)というように、IBMとともに開催した「INNOVATE HACK KYUSHU」、定期的に開催している「九州オープンイノベーションサミット」などを通じて、大企業を巻き込み新たな文化・仕組み作りを行ってきた。

福岡からもっと多くの起業家が生まれるための環境づくり

もともと福岡市といえば、スタートアップビザやスタートアップ法人減税、スタートアップカフェをはじめとするスタートアップ支援制度が充実している都市としておなじみだ。昨年だけでも登山情報アプリのYAMAPや釣り関連サービスを運営するウミーべ、IoTスタートアップのスカイディスクなどが資金調達を実施しているし、ITベンチャーの進出も盛んでピクシブは昨年12月に拠点を開設し、アカツキやメルカリも3月に開設を予定している。

徐々にスタートアップ文化・コミュニティができ始めているが「支援者の数は増えているもののまだまだ起業家の数が少なく、バランスが良くないのが課題」(両角氏)であり、それが今回のFV Accel Spot設置にも繋がっている。

「起業家が生まれるような仕組みづくりに注力したいと思っていて、FV Accel Spotもその1つ。福岡の中だけでやっていると視野がせまくなるので、県外からも人を呼び込み、事業のヒントや新しい視点を得られる環境にして、福岡をもっと盛り上げたい」(両角氏)

まず力を入れるのが若い起業家、特に学生起業家の支援だ。すでにハッカソンを通じて起業した学生の事例も3〜4件でてきており、今後もハッカソンや学生向けのイベントのほか、学生が企業で事業創造に関われるインターンに近いようなプログラムを開発するなどして、学生起業家向けのサポートを進めていく。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。