インスタント記事の次はインスタント広告だ。Facebookは広告主にユーザーがソーシャル・ネットワークを離れずとも、没入的な体験でリーチする方法を提供する。本日、Facebookは Canvasを正式にローンチし、全ての広告主が利用できるようにした。ユーザーがCanvasと紐づくFacebookのニュースフィード広告をクリックすると、全画面のリッチメディア広告ページをFacebook上で見ることができるようになる。モバイルウェブサイトのようにロードする時間を待たせることもない。
Facebookは昨年、私が広告版インスタント記事と呼ぶこのCanvas広告の検証を始めた。2011年よりモバイルサイトのサイズは3倍になり、これまでユーザーは広告を見るのに5秒から10秒もページがロードするのを待たなければならなかった。ユーザーの記憶に残るようなリッチメディア広告によるマーケティング体験を提供しようと思ってもモバイルでロードするには時間がかかりすぎた。そこでFacebookは、広告の終着点をアプリ内で制作できるようにし、予めロードしておくことでロード時間1秒ほどでユーザーが広告を見ることができるようにした。
Canvasはモバイルサイトのコンテンツ制作における制限を排除する。FacebookのCanvas広告にはアニメーション、カルーセル、商品カタログ、端末を傾けて見る画像、動画といったインタラクティブな要素を盛り込むことができる。CanvasはiOS、Androidアプリのニュースフォード広告と紐付いている。Facebookはこれを他のバージョンやInstagramといったアプリにどのように展開していくかを検討している。
ブランド側はツールを使って自分たちでCanvas広告を制作することができる。コードを書く必要はない。Facebookのデザインツールは画像、GIF、動画などを配置するだけでいい。あとはアトリビュートを設定して、広告の表示を開始する。Facebookの広告のエグゼクティブを務めるMark D’Arcyは「何もできないことはありません。できないことを強いて挙げれば、言い訳をすることです」と冗談を言っていた。
広告主はCanvasにここからサインアップすることができる。Canvas広告を作るのに追加でかかる費用はない。企業はこれまでのニュースフィード広告と同じ分を払うだけでいい。ユーザーがクリックした先の広告をきれいに制作できるようになったということだからだ。通常のFacebook広告と同じように、Canvasで別バージョンを作れば、それを違うデモグラフィックを対象に表示することができる。
FacebookはCanvasを導入したからといってFacebook広告が増えることはないという。ユーザーはCanvas広告かどうかを、全画面への展開を示す小さな上向き矢印のマークで判別できる。
FacebookによるとCanvasの初期テストでは、ユーザーは広告を見たい、体験したいと考えていることが示されたという。Canvas広告を開いた53%のユーザーは少なくとも広告の半分以上を閲覧し、平均視聴時間は驚きの31秒だった。一番のCanvas広告はユーザー毎70秒以上の視聴があったという。
このWendyのCanvas広告キャンペーンでは、チーズバーガーを材料別に分けて、ユーザーはスクロールしたりスワイプしたりすることでそれぞれの材料のGIF画像を見れる。この広告は平均視聴時間65秒を得た。ユーザーの2.9%は広告を最後まで見て、Wendyのレストラン検索を利用したという。
Facebookはユーザー毎の収益を押し上げる(とくに新興市場で)ためにストーリーを伝える方法を開発することに取り組んできた。昨年、FacebookはCreative Acceleratorをローンチした。これはブランドにモバイルネットワークやフィーチャーフォン用の広告を制作する方法を教えるものだ。また、動画風のロードが早い特殊なSlideshow広告フォーマットをローンチした。しかし今回のCanvas広告は、高い帯域幅の先進市場を狙っている。
広告主にマーケティングで使えるリッチメディアフォーマットを提供することで、視聴者はブランドを覚えやすくなる。多くのプラットフォームは広告費を巡って競い合っているが、最終的にユーザーが見る広告の形においてイノベーションを起こしてはいない。Canvasはロード時間でユーザーにストレスを与えたり、ブラウザからFacebookの外へと誘導しないことから、ユーザーがこのソーシャル・ネットワークで友人とつながりつつ、Facebookに留まりより多くのニュースフィード広告を見ることにつながるかもしれない。
Anthony Haも一部情報を追加している
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