機械学習は、〈言語の障壁を越えて世界をつなぐ〉Facebookのミッションを実現しつつある。現在Facebookは、毎日200億件のテキストを翻訳している。Facebookは、フランス語、英語をはじめとする40ヵ国語、1800種類の方言を翻訳できる。そして毎月8億人、即ち全Facebookユーザーの約半分が、翻訳された記事を読んでいる。
Facebookの言語技術責任者、Alan Packerは、今日サンフランシスコで行われたMITのEmtech Digitalカンファレンスでこの成果を報告した。カンファレンスでは人工知能、機械学習等、データ解析の様々な最先端技術に大きな注目が集まった。
以前、Pinterestの製品責任者Jack Chouは、同社のビジュアル検索機能が提供開始からわずか6ヵ月で、月間1.3億回利用されたと報告した。このサービスは4人の小さなグループが開発したもので、ユーザーはテキストだけでなく画像を使って検索することができる。Pinterestでは、2000万の売り手が、計5000万個の有料ピンを購入している。
記事を翻訳するだけでなくテキストと画像の内容を理解できるFacebookの機能は、ニュースフィードの関連性を高めるこのにも大きな進歩をもたらしている。Packerは、パリでおすすめのホテルを尋ねる投稿をFacebookが理解し、最近パリを訪れた友達にその記事を見せたり、質問する友達を推奨したり、公開投稿で関連記事を検索することを薦めたりできることを説明した。
Facebookは、オンライン翻訳の先駆者であり、クラウドソーシングを利用して、世界中のユーザーがUIのテキストを母国語に翻訳するしくみを作った。2011年、Facebookはニュースフィードでユーザーの投稿やコメントを翻訳する自動システムを提供開始した。GoogleとMicrosoft/Skypeも、積極的に翻訳ツールを推進して、国境を越えて世界を一つにしようとしている。
その動機は明確で、社会的意義は大きく、収益にもつながる。Facebookのミッションは、もっとオープンでつながった世界を作ることだ。私はPackerに、翻訳がそれにどう関わるのかを質問したところ、「翻訳チームのミッションは、言語が、世界をよりオープンでつながったものにする障壁になるのを防ぐこと」だと彼は言った。
正確な数字は示さなかったが、翻訳ツールを利用することによってユーザーは「より多くの友達や友達の友達を得て、より多くの考えや文化に触れるようになった」とPackerは言った。そして翻訳機能がユーザーにとって重要な存在になっていることを彼らは知っている。なぜなら「一部の人に対してこの機能を無効にしたところ、彼らは怒り狂った」からだ。
今われわれは、AIを持てる者と持たざる者の時代へと急速に入りつつある。コンテンツや情報の意味を解析する技術力を持たないIT企業は、ユーザーに効率よく情報を伝えることができない。Google、Facebook、Microsoft等が繁栄する機会を得る一方で、研究開発に資金と人材を投資する余裕のない他の企業の先行きは厳しい。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)