Facebookのグラフ検索はあなたのプライバシー設定を無視していない。そう感じるだけだ

「きゃっ、Facebookのグラフ検索が私のプライベート写真を世間に曝した!」 Facebookの未だベータの新検索サービスを紹介して以来、この種のメールがTechCrunchのタレコミ箱に送られてくる。暴露には興味をかき立てられる ― Mark Zuckerbergとサルの格好をした赤ん坊!スタートレックのコスプレをしたMatt Burns記者! 中指を立てるEric Eldon!など(そう、本誌でも楽しんでいる)。しかし、見た目とは裏腹に、Facebookはあなたのプライバシーを実際には侵していない。そう感じるだけだ。

もしあなたが、最近Facebook友達でもない人に過去の恥かしい写真を見られたことに気付いたなら、恐らくFacebookグラフ検索のせいだろう。ユーザーの写真を見つけるために、グラフ検索は、あらゆるFacebookユーザーがあなたの名前を入力し、検索バーの下に現れる「・・・の写真」などの親切な助言にしたがって検索することを許している。その結果、全くの赤の他人かもしれないそのFacebookユーザーは、あなたの写真を大量に見ることができる!

そして、そのうちの何枚かはシェアしたくないものかもしれない。

eldon-birdこれが直ちに一部の反感を呼んだ。例えば、顔認識APIを作っているLambda LabsのStephen Balabanは、「Facebookグラフ検索はユーザーのプライバシー設定を無視する」というタイトルでこの問題をブログに書いた

そしてそれは、ある意味では正しい。ただし〈厳密には〉違う。

Balabanが記事で指しているのは、彼の兄のようにプライバシーに敏感なユーザー ― 何年にも渡って友達以外がプロフィールページを訪れても何も見えないようにプライバシー設定を注意深く調整している ― でさえ、新機能によって露出されてしまうという事実だ。Balabanの兄の名前をグラフ検索しただけで、何十枚もの写真が見つかると彼は書いている。兄は激怒している。

この問題の根本は、グラフ検索で重要なのは〈あなたの〉プライバシー設定だけではなく、あなたのFacebook友達がどれだけあなたのプライバシーを尊重しているかにも関わってくるということだ。例えば、私自身をうぬぼれグラフ検索(今のトレンドだよね?)すると、大学時代の友人が「公開」でアップした昔の少々恥かしい写真に私や他の友達がタグ付けされたものが見つかる。〈おお、友よありがとう!〉

過去において、これは大きな問題ではなかった。そんな写真はいずれタイムラインの彼方に埋もれていくからだ。写真は依然として公開状態にあるが、グラフ検索と比べればさほど挑戦的ではない。

しかし、それ以上に複雑な問題は、友達が間違って(あるいは無知で)公開した写真ではなく、友達同志ではない2人に共通の友人がいる場合に起こる。この場合写真には全体公開を示す地球アイコンではなく「友達のみ」のアイコンが表示される。この友達のアイコンをクリックすれば、なぜその写真が自分に見えているかがわかる。例えば、〈共有範囲:ユーザーAおよびユーザーBの友達〉、あるいは、〈ユーザーBの友達の友達〉、あるいは、〈ユーザーBの友達およびタグ付けされている人〉など様々なバリエーションがある。

colleen-empty-profile私が、TechCrunchの同僚、Colleen Taylorのプロフィールページでは1枚しか写真が見えないのに、グラフ検索すると20枚も出てくるのはこれが理由だ。この実験をした時点でColleenと私はFacebook友達ではなかった(そう、これは解決するつもり!)、しかし共通の友達はたくさんいた。私はそれらの友達の写真を見ることができ、彼らはColleenを写真にタグ付けしていた。だから、私に写真が見えたのだ。

つまり、私は〈以前から〉それらの写真を見ることが可能だった。それは、私のFacebook友達が彼の友達とシェアした写真であり、私は彼のFacebook友達だから。しかし、以前はそういう写真を発掘するのがずっと大変だった。グラフ検索はそれを簡単にした。

もちろんこれは、Facebookのいつものやり口だ。この会社は、ユーザーが公開あるいは準公開で共有しているデータをもってきて、もっとオープンな場に押し出す。Facebookは、自分たちが「世界をもっとオープンでつながった状態にしている」と同社の理念で語っており、グラフ検索はその新たな一例にすぎない。

そしてこれは写真だけに留まらない。 「Facebookグラフ検索の実際」と題したTumblrブログにあるように、人々はあらゆる種類の情報を不本意にFacebookで公開しており、その中には、間抜けに見えたり、カッコ悪いヘアスタイルや酔っぱらった写真などより、はるかに恥かしくて有害なものもある。

それでは、シェアされていることを知らなかった写真についていったい何が出来るのだろうか。まずは、そこから自分のタグを外すことだ。友達がうっかりシェアしてしまったものに対しては即効性のある修正だ。さらに徹底するなら、その写真を通報する。やり方は、タグを削除したのと同じ画面 ― 写真の下の「オプション」― で「タグを報告または削除」をクリックし、選択肢の2番目(「Facebookからの削除を希望します」)をチェックして理由を書く。そうすれば永久削除のためのプロセスが始まる。たぶん、恐らく。あるいは削除は構わないという友達もいる

しかしこれは非常にややこしく、まさしくそこがポイントだ。Facebookのプライバシー設定は複雑で、Facebookがユーザーにデータをもっと制御できるようにと試みても、結果的にもっと複雑になってしまう。ついて行けてる人いる? そもそもまだ挑戦する気ある?

この数年間、今回グラフ検索がもたらしているような露出に対する怒号は耳をつんざくばかりだ。今回それは、公式発表からジョークねたにまでなった。どうやらわれわれはFacebookの変更によって露出過多になることに慣れつつあり、もはや戦う力は残っていないらしい。グラフ検索によって「もう無理、Facebookをやめる!」と宣言する一握りの人たちに対して、それ以外の10億人なりの人々は、ただ笑うだけ、あるいはもっとありそうなのは、そもそも気にしていないのだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)