Facebookのコメントシステムが一貫してひどい理由

bathroom-graffiti

ここ何ヶ月もの間、Facebookのコメント欄は、あからさまで、腹立たしい「私は自宅で働いていい給料をもらってます」スパムにまみれている。どこのメールサービスでもフィルターできるのに、なぜFacebookは? 最先端AI研究と巨大なスケーラブルサービスと、世界で最も優秀なソフトウェア開発者の聖地で? いや、このスパムは彼らの能力を越えているのだ。

//platform.twitter.com/widgets.js

冗談、冗談。Facebookがその気になればコメントスパムは一掃できる(公正のために言っておくと、Facebookコメントは一貫して常にひどかった)。何か幹部の意志が働いているのかもしれない。しかし、放置していることを誰が責められようか。Facebookは、〈10億人〉単位のユーザーを扱い、〈10億ドル〉単位の売上のある会社になったのだ。コメントは、そこに何の影響を与えるものではない。

しかし、Facebookコメントは興味深いテクノロジーパラドックスの理想的事例だ。会社が大きくなればなるほど、新しい取り組みには依存しなくなる。

Revolvのケースを考えてみよう。このホームオートメーションコントローラーだはNestに買収され、そのNestは巨大なAlphabetに買われた。そして潰された。それは「モノのインターネット」が実は「誰かのモノのインターネット」であることを思い知らされるものだった。自宅のデバイスの管理権限を持っていなければ、それは自分のものではない。会社が大きくなるということは、あなたの大好きなものがそこに買収されるかもしれない心配をしなくてはならないことを意味している。

もちろんGoogleは、みんなが大好きなGoogle Readerの故郷だったが、数年前いとも簡単に捨て去った。

それは、Google+が未来だと考えていた頃には戦略的失敗だと見ることもできる。しかし実際のところGoogleにとって重要なのはGmailであり、10億人のユーザーをほんの少し喜ばせることの方が、Readerの数千万ユーザーにサービスを提供するよりも意味がある。

それは、Googleが新しいブックマーキングサービスをスタートしても、Pinboardが恐れていない理由でもある。

[みなさんには新しいGoogleのブックマーキングサービスに登録することをお薦めする。そうすれば2年後に大量のユーザーが流れてくるから]

一見、小さなスタートアップのサービスに頼るより、大会社のサービスの方が安心だと思うかもしれない。しかし、それはそのサービスが会社にとって最重要である場合に限られる。

そうでない場合、大企業のサービスはいつでも予測不能な社内政治の被害者になり得る。わずかな乱れがわれわれ全員に影響を与える。放置されることは、ゆっくりとした死刑宣告だ。スタートアップが失敗して即死するサービスの方が、見捨てられてゆっくりとトイレに流されるサービスよりもずっといい。少なくとも結果が見えている分だけ。もっと証拠が欲しい人は、[原文の]コメント欄を見ていただきたい。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。