編集部注:Semil Shahは、Swellの製品開発に携わっており、TechCrunchのコラムニストであると共に投資家でもある。彼のブログはHaywireで、Twitterアカウントは@semil。
モバイルアプリの世界にとって先週最大のニュースは、Facebookからだった。ソーシャルネットワークが作ったニュースや投稿を読むための新アプリ、Paperだった。このビデオは必見だ。エレガントで感情に訴える非常にAppleチックな作りだ。Facebookがこの種のアプリを発表すると、以前のCamera、Poke、Messengerのように、メインアプリの機能を切り離した単独アプリが想起される。ITスタートアップコミュニティーの最初の反応は懐疑と期待が入り交り、その新デザインを待望する声がある一方(実際見映えはすばらしい)、単なるコピーだと失望する向きもあった(一部の動きはFlipboardに似ている)。
そしてすべては1つの疑問に集約される。Paperのたどる道はPokeなのか、それともMessengerなのか? この答はFacebookの将来に重大な影響をもたらすだろう。
モバイル端末において、MessengerはFacebookから独立することに成功した。Messengerはトップクラスのメッセージングアプリとしてよく役目を果たしており、Facebookはスマートフォンのメインアプリのユーザーを一旦Messengerへと送り出す(そして戻す)ことによってMessengerを使うことを意識させることまでしている。Pokeを思い出せばわかる通り、Facebookでさえその膨大な定着モバイルユーザーベースを使って、ライバル、Snapchatの本物の体験を再現することはできなかった。これは、Facebookの高いモバイル定着率が、あらゆるアプリをヒットチャートのトップに躍り上がらせることができる一方で、アプリがユーザーから見離されてしまえば、モバイルへの定着に与えられるる影響にも限界があることも露呈したエピソードだった。
Facebookとモバイルに関して、このところ彼らは中核機能を新モバイルアプリへと分離し配布する初期段階にある。去る2011年9月、私はここTechCrunchに、Facebookがわれわれの端末を全面制覇しようとしている戦略について書いた。その時の記事はここで読めるので写真を参照されたい。2年半後の今、Facebookはモバイルではるかに強力なポジションにいる。先週の収支会見で、Facebookはモバイルの数字を公表し、MAUが9.55億人、DAUは5.5億人だった。このスケールとモバイルアプリの定着によって、Facebookは驚くべき量の実用的データを利用することが可能となり、それはマーケティングパワーとして、モバイルアプリのインストール広告による売上へとつながっている ― モバイルで再ターゲット広告やディープリンキングを行う日も遠くない。
果たして今後Facebookは、自身のネットワークの威力とスケールを活かして、その日間アクティブユーザーを新しいモバイル体験へと駆り立てることができるのか(Messengerと同じように)、それともユーザーは一時的に群がるだけですぐ離れていってしまうのか(Pokeの時のように)? そして、具体的にPaperについて言えば、果たしてユーザーはニュースや友達に関する話題を、モバイルでリアルタイムにプッシュ通知されることに慣れていくのか、それともそれをスパム的と感じて元のニュースソース(通常のfacebookを含む)へと帰っていくのだろうか?
明日(米国時間2/3)にPaperが公開された時の世界の反応が実に興味深い【訳注:日本は未サポート】。Paperに関して、本誌のJosh Constineが、”Facebook’s Plot To Conquer Mobile: Shatter Itself Into Pieces” で詳しく分析しており、WaneloのAdam Besvinickも、アプリ分離の先にあるものを解説している。いずれも優れた記事だ。Facebookは、1年前、2年前と今日とでは大きく異なるモバイル企業だ。そのスケールは膨大であり、定着率も桁外れだ。製品体験そのものに意味があると仮定するなら、即ちニュースとパーソナルな記事が興味を引くのなら、Paperへの移行率がたとえ低くても、その読者数はかなり大きい。今われわれの端末やアプリストアに次から次へとニュースアプリが増えている理由は、ニュースをチェックすることが、1日1度のアクティブな利用形態ではなく、1日複数回の超アクティブ利用形態であるからだ。そしてFacebookは、そのモバイルユーサーデータ、アルゴリズム、およびスケールと定着性によってこの行動を活かし、人々が朝一番に読む物になろうとしている ― かつて新聞がそうであったように。結果は時が過ぎるのを待つしかない。明日の朝は是非 “Paper” を手に取ってご一読あれ!
写真提供: Je suis Samuel / Creative Commons Flickr
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)