Facebookの共同創業者が立ち上げた投資ファンドB Capitalが急成長

2015年にFacebookの共同創業者であるEduardo Saverin(エドゥアルド・サベリン)氏とラジ・ガングーリ氏が創業したB Capital Group(旧称Bain Capital)は、コンサルティング業界の巨人のBoston Consulting Group(BCG)の支援を受けつつ、クローズした3億6000万ドル(約395億円)の1号ファンド以来、静かにビジネスの拡大を続けている。

すでに50人を雇用し、4億1000万ドル(約450億円)の2号ファンドの投資を行っている同ファンドは、さらに大きな資金調達を行うと私たちは伝え聞いている。新たにジェネラルパートナーとして加わったのは、以前MicrosoftのコーポレートベンチャーグループであるM12のマネージングディレクターを務めていたRashmi Gopinath(ラシュミ・ゴピナ)氏だ。

エンタープライズテクノロジー、特にクラウドインフラストラクチャ、サイバーセキュリティ、そしてDevOpsを専門とするゴピナ氏は、サベリン氏、ガングーリ氏、Kabir Narang(カビル・ナラン)氏(Eight Roads Ventures Indiaからやって来たフィンテックを専門とする人物)、そしてKaren Page(カレン・ペイジ)氏(昨年B Capitalに参加する前は、10年近いBoxと1年間のAppleの経験を持つ)に続く5番目のジェネラル・パートナーとして参加した。

同社は他に、COO、CFO、およびロスアンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、そしてシンガポールの4つのオフィスで世界中の取引を精査する15人の投資家も抱えている。実際、そちらのグループにも別の新規採用者がいる。Primary Venture Partnersから参加したばかりのプリンシパルであるCrissy Costa(クリッシー・コスタ)氏だ。

米国時間2月6日、私たちはガングーリ氏に会い、この成長を続ける組織について、現在注力している分野も含めて、より詳しい話を聞いた。彼は会社が現在資金調達を行っているか否かに関してのコメントは拒否したが、その他の活動に関しては、少しだけ内容をほのめかした。

私たちが知ったことの一部は、BCGがB Capitalにどれだけしっかりと織り込まれているかということだ。BCGは、最大の外部リミテッドパートナーであるだけでなく(パートナーたち自身は会社の最大の投資家だ)、両社は強力な戦略的パートナーシップを結んでいる。

ガングーリ氏が説明するように、「(B Capitalが投資する)企業はリソースとネットワークを提供してくれるBCGパートナーにアクセスできるようになる」ことで、見かけ上大きなパートナーシップやその他の取引へと結びつく。またB Capitalは、例えば大手製薬会社などのBCGの顧客が、何を欠いていて何を持っているかを内部的に把握することで、それに応じてスタートアップに投資することができる。

AIを使用して患者に対するより効果的な癌治療を予測するNotable Labsへの投資は、一部はこうした経緯から生まれたものだ (Notable Labsは、昨年B Capitalが共同で主導したシリーズBで、4000万ドル(約44億円)を調達した)。さらに広く見れば、デジタルヘルス領域は、B Capitalが業界について学んだ結果から、同社の主要な集中領域の1つになった。

それ以外の関心領域としては、B Capitalは現在フィンテックにも強い焦点を当てている。「大銀行が十分にサービスを提供していない領域だと私たちが考える、小規模なビジネスを中心にしています」とガングーリ氏は語る(彼の説明によれば、B Capitalは他のファンドに投資するのではなく、アメリカ、インド、そしてインドネシアの関連した領域で、彼らを助けることのできるテクノロジーに投資している)。

同社はまた、B Capitalのサンフランシスコオフィスを共同して統率しているゴピナ氏とペイジ氏が、ほとんどの時間を割いている水平展開できる企業向けソフトウェアもお気に入りだ。実際、同社は最初のサイバーセキュリティ投資のクロージングを行っている最中であり、ガングーリ氏はさらなるクロージングがあることも示唆した。

これは記しておく価値があるだろう:B Capitalの最初の2つのファンドは今日の基準から見ればそれほど大きくはないが、彼らはB、C、Dステージのスタートアップに1000万ドル(約10億円)から4500万ドル(約49億円)の小切手を渡す後期投資に焦点を当てている。こうした企業のほとんどは、B Capitalの候補になった時点での年間収益が1000万ドルから5000万ドルの間の企業であり、またほとんどが海外展開を行うビジネスであるか、そうなりたいと熱望する企業たちだ。

ガングーリ氏は、カリフォルニア州サンマテオにあり、健康アプリの医学的検証を提供している創業8年の会社Evidation Healthの名前を挙げ、そのBおよびCラウンドにB Capitalが関与していると語った。Evidation Healthは最近シンガポールへの進出を発表したが、その動きは裏でB Capitalによって支えられている。

ガングーリ氏によれば、同社は投資先を「テーマ優先で選定する」ために、「地理的には定まっていない」という。しかしチームは欧州、米国、インドに続き、南アメリカも、まだ実際の投資は行われてはいないものの、徐々に興味深い対象として見るようになっている。

同社は、LAを拠点とするスクーター会社のBirdを対象にしたり、より最近のケースではインドのスクーターと自転車の企業Bounceへ非常に大規模な投資を行ったりしたように、異なる地域での似通った企業を支援する。ガングーリ氏は、B Capitalはこの分野を愛しているのだと語る。「スクーター事業の利益性はカーシェアリング事業よりも優れていると考えています。そしてある意味投資家の意欲は減退気味なのですが、私たちは単体としての経済性は非常に良好な分野だと考えています」。

将来BirdとBounceの間に生じる可能性のある利益相反に関しては、ガングーリ氏は心配していないと言う。「カーシェアリングがどのように進化したかを眺めてみると、勝者はローカル市場をよく理解している者たちなのです」。彼は、インドにおけるスクーターのユースケースは、米国とは非常に異なっていると指摘する「利用者はスクーターをはるかに長い距離で利用しますが、それこそが、彼らがビジネスを遂行し運営するための主要なメカニズムなのです。彼らの仕事はこれらのスクーターなしでは上手くいきません。こうした事情は先進地域とは大きく異なっているのです」。

B Capitalのこれまでの最大の投資たちは、様々な場所に分散している、例えばシアトルを拠点とする創業11年の契約ライフサイクル管理ソフトウェア会社のIcertisから、カリフォルニアのEvidation、そしてシンガポールに拠点を置くeコマース企業向けの翌日配達を専門とする創業6年のNinja Vanなどだ。

「(私たちのすべてのポートフォリオ企業に対して)私たちが、本当に最大限注力していることは、初期の顧客との高い再契約率です」とガングーリ氏は語る。「多くの人は、総ユーザーベースを急速に成長させる会社の能力に集中していると思います。しかし、(特に)企業投資においては、ただ使い続けていただけるだけでなく、年々支出を増やしていただけるような顧客の方にお会いしたいのです」。

B Capitalは「常にエンタープライズとビジネス向けのテクノロジーに焦点を合わせてきました」と、彼は付け加えた。「そこがこれから20年で最大のチャンスが生まれる場所だと考えているのです」。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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