編集部注:Taylor BuleyはConde NastのPARADE誌の上級編集者。元Forbes誌の常勤ライターで、ペンシルバニア大学とスタンフォード大学を卒業している。Twitterアカウントは@taylorbuley。
木曜日(米国時間2/14)、Google Mapsの共同発明者、転じてFacebookグラフ検索のグルとなったLars Rasmussenが、Redditのオープンスレッド「何でも聞いてくれ」に登場した。オーストラリア出身の彼は、グラフ検索の競合に関する質問はかわしたが、Facebookでのグラフ検索開発の歴史については、ほぼその全貌を明らかにした。
Facebookエンジニアにとっても楽しいひとと時だったようで、彼がちりばめた18個のスマイリーフェイスがそれをものがたっている。
グラフ検索は、Facebookの検索市場への殴り込みだ。”San Francisco + sushi restaurant” などの検索ワードでページを探す代わりに、グラフ検索は “my friends who like sushi”[寿司の好きな友達]などの自然言語文を受け取って、利用者のソーシャルネットワーク全体に表現されている結果を見つけてくる。Facebookは、パーソナライズされたデータを使うことによって、YelpのレビューやGoogleのペイジランクなどの仕組みよりも、関連性の高い検索結果を提供できると確信している。
Rasmussenによると、彼は2010年の終りにFacebookの面接を受け、ほぼ同時期にGoogleはGoogle Waveの閉鎖を発表した。彼が弟のJensと共に立ち上げたプロジェクトだった。しかし、彼がグラフ検索プロジェクトに参加したのはそれから半年後だった。
「Zuckは2011年の春、私に検索の仕事をするよう依頼した」、と彼はMark Zuckerbergとの3回の散歩を思い出して書いた。Facebookのファウンダーは、「自分は何が欲しいか、Facebookで人々がシェアしたコンテンツを対象にした構造化検索サービスがいかに魅力的であるかに関して非常に強いビジョンを持っていた」
公開のタイミングに関する質問に対しては、彼のチームが「ずっと後にグラフ検索となるものの初期プロトタイプを2011年の夏に見せた」時のことを説明した。このプロトタイプは作るのには数週間しかかからなかったが、元にしたソースコードは「以前の構造化検索製品のプロトタイプで自然言語は使われていなかった」と彼は言った。
これで、Facebookが非自然言語検索製品というアイディアを、少なくとも2011年夏以前からいじっていたことがわかる。これは、Facebookが2010年夏に公開した自由にインデックス可能なオープングラフのタグ標準をベースに、検索プロジェクトを作っていたという、2010年に出回った噂と符合する。
初期プロトタイプから2013年1月の発表まで、何がグラフ検索の開発を遅らせたのか? Facebookに賢い人が多すぎたからだろう、おそらく。Facebookで働くことの「ベストとワースト」を聞かれたRasmussenは、会社に「情熱的で、聡明で、意固地な人々がたくさん」いることの落とし穴について語った。問題?「答に到達するまでの時間が私の望みより長くなることがある」ことだ。
「プロジェクトがベータに到るまでにかかった時間は、スタート時点で私が予想したよりも長かったと言わざるを得ない」とエンジニアは率直に明かした。「私が関わったプロジェクトの殆どが、この体質だった スケジュールに遅れている間の時間は矢の如く進むからね!」
しかし、恐らく遅れは良い方向に働いた。オープングラフタグの上に作った裸の検索エンジンでは、検索分野に何のイノベーションを起こさなかっただろう。代わりに、Facebookは1月、自然言語クエリとソーシャルデータを備えた今までにないタイプの検索を、他のどのライバルにも作ることもインデックスするも不可能なスケールで送り出した。
では、グラフ検索の競合についてはどうなのか。報道関係者は、Zuckerbergの検索ビジョンに対するライバルとして、数ある中でもYelpとGoogleの名前を挙げる。しかし、Rasmussenと彼のチームがどの会社を直接のライバルだと考えているかを問われると、エンジニアは本音を隠してスマイリーフェイスを載せるだけだった。
Facebookのグラフ検索は、まだ全ユーザーに提供されていない。Rasmussenは、一部のみに提供している理由の一つは、実際のユーザーによる生のA/Bテストを行うためだと言う。終わりのない内部ディスカッションの可能性を回避するためのプロセスだ。「実際に使ってもらわなければ、一日中議論するはめになるから」と彼は書く。
どうやら今Facebookは、グラフ検索の将来について検討しているところのようだ。Rasmussenによると、彼の3度目で最近のZuckerbergとの散歩はつい先週行われ、目的はこの検索プロジェクトの将来を検討するためだった。
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(翻訳:Nob Takahashi)