Facebook Connectは、こうやって消費者インターネットを変えた

【日本語版注:本稿の筆者、Stacey NgoはGreylock Partnersのコミュニケーション・マネージャー。】

FacebookがAPIを開放した時、このプラットフォームはアプリをウェブで配信する全く新しい方式を生み出した。デベロッパーはかつてないレベルでFacebookの中核機能にアクセスし、奥深く統合することが可能になり、誰もがサインアップして開発を始められるようになった。

プラットフォームの公開からわずか6ヵ月の間に、1万本以上のアプリが登場した。その時、現在Greylock PartnersのパートナーであるJosh Elmanは、このソーシャルネットワークが消費者インターネットを変えようとしていることに気付いた。

しかし、そんなアプリの「カンブリア爆発」が起こるにつれ、当時ZazzleのプロダクトマネージャーだったJoshは、アプリが増えすぎてユーザーの滞在時間が減っていることを知った。

彼がこう回想する。「Facebookへ行くと友達から大量にリクエストが押し寄せてくる ― このゲームをプレイしよう、彼らにプレゼントをあげよう、報奨を与えよう、ポイントをためよう、と。Facebookは楽しい場所ではなくなった」。しかし、このプラットフォームの開く未来の可能性は明るいと見越した彼は、2008年にFacebookプラットフォームチームに加わり、Facebook Connectの提供開始に貢献した。

手ごたえは感じたものの、主要ブランドをパートナーに引き込むことはできなかった。Facebookは当時まだずっと小さく、大型ブランド ― CNN、Amazon、The New York Times等 ― と提携することは、誤った初期戦略であることをJoshは知っていた。

多くの場合、スタートアップはそうした言わゆる「ビッグホエール」たちを追い求めて失敗する。それは両者の意図と期待が異なるからだ。Facebookは、同じ立場に立ち、クリエイティブで、プラットフォームと真に統合できる正しいパートナーを見つける必要があった。それを踏まえ、FacebookはHuffington Postと組み、大成功を収めた ― 互いに配信手段とコンテンツをテコにして、両者ともに利益を得た。事実、Facebook経由でHuffington Postにログインしたユーザーは、平均的ユーザーよりも長い時間サイトで過ごした。

Facebookは、Twitter、LinkedIn、Google等の消費者インターネット企業が配信や成長の新しい方法に取り組む道を開いた。各サービスがプラットフォームとAPIを開放し、他社がプラットフォーム上で開発、成長できるようにした。ブランド力のないスタートアップにとって、既存プラットフォームの上に開発できることには膨大な価値があり、巨大なユーザー基盤との直接チャンネルを作ることができる。

しかし、プラットフォームの発展によって、アプリ開発とバイラルな配信の新たな道が確立された一方で、スタートアップは自らのアイデンティティーに基づいて製品を構築し、プラットフォームはゴールへ向けて加速するためだけに活用すべきだと、Joshは警告する。「成長のためには、ユーザーが正しいプラットフォームの正しい場所で行動するよう戦略的に考えることが重要だ」と彼は言う。「そして大切なのはグロースハッキングでも正しいパートナーを探すことでもなく、自分たちのユーザーについて考えることだ」。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。