ウェアラブル・アクティビティー・トラッカーが、益々スマートで複雑になる中、Fatigue Scienceは、ただ一つ、その一つだけのことを測定する ― よく寝ているかどうか。
Fatigue Scienceのバンド、Readibankの外観は、FitbitやNike Fuelbandと非常によく似ている。内蔵の3D加速度計で、移動、衝撃、速度、頻度等を追跡する。バッテリーは1回の充電で60日間持続し、防水および耐圧性がある。
このバンド自体は革命的製品ではなく、殆どのウェアラブル・フィットネストラッカーでも睡眠中にユーザーを監視できる。
Fatigue Scienceは、病院の睡眠実験室で睡眠の質を93%の精度で検出する能力を持つが、真の特徴は、人間の有効性と反応時間を予測する能力だ。同スタートアップは、バンドが検出した睡眠データを収集し、米軍が開発した生物数学モデルに投入する。
ここまでの精度は殆どの人々にとって必要ないが、最高のフィジカル状態を要求されるエリートアスリートにとって、睡眠の質と、そのパフォーマンスへの影響を理解することは、(文字通り)「ゲームチェンジャー」だ。
シアトル・シーホークス、シアトル・マリナーズ、ニューヨーク・ジャイアンツ、およびダラス・マーベリクスは、最近増えている、プレーヤーに毎夜Readibandを着けて寝させているプロスポーツチームのグループだ。
Fatigue ScienceのTeam Platformと呼ばれるダッシュボードを使うと、バンドを着けている全プレーヤーのデータを収集し、コーチはトレーニングやスケジュールを、選手が完全に休養した状態で行うのに必要な情報を得られる。
「例えばもしシーホークスが日曜夜にニューヨークでプレイするために複数の時間帯を越える必要があれば、最高の状態でプレイできる適切な睡眠時間を確保しなければならない」とFatigue ScienceのCEO Sean Kerklaanは言う。
もし、移動スケジュールがプレイヤーの翌朝練習する能力に影響を与えるとフロントが判断すれば、おそらく練習は中止すべきだろう。
チーム全員の睡眠データを収集することによって、医師やコーチは、選手たちが試合後眠るまでに平均してどれだけ時間がかっているか、休みの日とプレイや移動する日とで睡眠時間に違いがあるか、さらにはそれがゲーム時のパフォーマンスにどう影響するかを分析できる。
Kerklaanは私に、米国男子サッカー代表チームはこのバンドを使って、昨年のブラジルワールドカップ前、どの選手の睡眠習慣が成熟しているかを測定した、と話した。
そしてプロスポーツはこのテクノロジーの応用例の一つにすぎない。Fatigue Scienceは、建設機械製造業のキャタピラーと組んで、従業員が睡眠不足の時に重機を操作するのを防いでいる。
今のところ同社は睡眠と疲労の追跡のみに特化しているが、近い将来APIを公開して、ユーザーがほかのセンサーからデータを取り込めるようにする計画だ。
「心拍数、汗、その他のセンサーについて多くの質問を受けている」とKerklaanは言う。「われわれの立場は、そのいずれも疲労の度合いを理解するための科学的根拠を持たないとしているが、APIを使えば研究や相関の理解を深められるだろう」。
Fatigue Scienceは昨秋300万ドルのシード資金を多くの戦略的エンゼルから獲得しており、Kerklaanは、事業のキャッシュフローがプラスになったので、シリーズAラウンドの時期を見計らっていると言っている。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)