FCC(連邦通信委員会)のAjit Pai委員が今日(米国時間12/2)、NetflixのCEO Reed Hastingsに送った書簡で、このオンラインビデオプロバイダが自社のコンテンツのためにインターネットの“高速レーン”を“実質的に確保している”、と主張した。
Netflixはこれまで、ネットワーク中立性(net neutrality)の積極的な支持者だったから、Paiの見解はちょっと意外だ。Netflixが実際に、自社のコンテンツを他社よりも有利に扱うような方法を作っているのなら、それは自社の利益のためにインターネットをねじ曲げることだ。つまりそれは、富裕な先行企業が金の力で市場における自己の位置を高めに維持しようとする試みであり、ネットワーク中立性の理念とは真っ向から反する。
同社はコメントを拒否した。
以下は、Netflixがネットワーク中立性に対する同社自身の基本姿勢に反しているとする、Paiの主張からの引用だ[太字は本誌による]:
最近の報道によると、我が国最大のストリーミングビデオプロバイダNetflixは、ストリーミングビデオのオープンスタンダードを作成する取り組みに参加しないことを選んだ、とされる。しかも私の理解によれば、Netflixは、ストリーミングビデオのオープンスタンダードの諸相を損なうような方策を採っている、あるいは少なくともテストしていると思われる。具体的には、私の理解によれば、Netflixは、オープンキャッシングが使われているところではときどきそのストリーミングプロトコルを変えて、オープンキャッシングのソフトウェアがNetflixのトラフィックのキャッシングを正しく同定できないようにしている。Netflixのトラフィックはその大半がストリーミングビデオのトラフィックなので、このような方策はオープンスタンダードの実現性を損なうものである。言い換えると、業界の多数が一団となって合意したスタンダードが、Netflixのトラフィックを同定して正しくルーティングできないなら、それらのスタンダードは結局のところ、デジタルビデオの消費者に十分な利益をもたらし得ないのである。
一部の情報によると、Netflixがそうしているのは、同社が現在、同社のOpen Connectプログラムの一環として、独自のプロプライエタリなキャッシング装置を全ISPのネットワークにインストール中だからだ、と言われる。全ISPはオープンキャッシングのための装置をそのネットワークにインストールして、Netflixも含むすべてのビデオコンテンツプロバイダが公平平等に競争できるようにすべきである。しかし、もしも、逆にISPたちがNetflixのプロプライエタリなキャッシング装置をインストールすることになれば、Netflixのビデオは短距離走のような速度で走り、一方同社の競合他社は、マラソンのような速度で走らなければならなくなる。
Paiから見れば、それは不公平だ。同委員によれば、この主張は、“ネットワーク中立性を強力な規制により確立せよとするNetflixの姿勢との矛盾を”、指摘するものだ。
Netflixとしては、反論したいことがたくさんあるだろう。たとえば、Netflixが独自のキャッシング装置をインストールしたら、そのほかのキャッシング装置は排除される、というPaiの考え方などだ。
もっと視野を広げると、同社は今年の初めに、こんなことを言っている:
Netflixは強力なネットワーク中立性がきわめて重要と考えるものであるが、しかし短期的かつ至近的には、弊社の消費者体験を守るために、場合によっては強力なISPたちに通行料を支払うだろう。弊社がそうするときには、競合他社に対する優先アクセスのために支払うのではなく、単に相互接続のために支払うのである。
Netflixとしては、Paiは単なる相互接続の一形式にすぎないものに対して文句を言っている、と主張したいだろう。しかしこれに関しては、Netflixからの技術的な説明がほしい。オープンプロトコルをオプトアウトするだけなら、罪ではない。しかしNetflixがそう決めて、ある種のコンテキストにおいてISPと協働すれば、Netflix以外のコンテンツは相対的に遅く配布されるだろう。そうやってNetflixに何らかのスピード向上を認めるのなら、それはもっと大きな問題のタネになりかねない。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))