アトランタを拠点とするスタートアップのFlorence Healthcareは、シードラウンドで170万ドルを調達し、製薬会社や病院などの治験実施施設に務める研究者が、クラウド上で臨床試験に関する情報を共有できるような環境をつくろうとしている。
最終的には、関係者が互いに情報を交換するだけでなく、アメリカ食品医薬品局(FDA)とも情報共有を行うことで、患者が切望している治療法を市場に届けるのにかかる時間を短縮できるかもしれないと、Florence Healthcareの設立者兼CEOのRyan Jonesは語った。
これまでホワイトボードや紙の上で行われていたプロセスをデジタル化することで、製薬業界が時間とお金を節約することにも繋がる可能性がある。
「毎年、製薬業界では100億ドルもの資金が、治験実施施設の訪問や、FDAに提出するための書類をまとめたりスキャンしたりする目的で使われています」とJonesは話した。
Florence Healthcareは、紙で情報の記録や回覧を行い、患者をオフラインで処置しながらカルテや研究レポートをまとめることに慣れている研究者が、違和感なく利用できるようなソフトの開発に努めていた。
さらにJonesによれば、最近のバイオテック界でのブレイクスルーによって、新薬の効能や安全性に関する臨床試験を行う、研究機関や「治験実施施設」の業務量が大幅に増加していた。
2014年のFlorence Healthcare設立以前、JonesはPubgetと呼ばれるコンテンツ検索ベンチャーの社長を務めており、同社は2012年にCopyright Clearance Center Inc.によって買収された。Pubgetのおかげで、大手製薬企業は、数ある情報の中でも600以上の医療機関から発表された研究論文にアクセスできるようになった。
Bee PartnersがFlorence Healthcareのシードラウンドにおけるリードインベスターとなり、Bessemer Venture Partnersや、ダートマス大学の卒業生から成るGreen Dのファンドのほか、Fitbitの技術部門のヴァイスプレジデントであるWill Crawfordがラウンドに参加した。
Bee Partnersの共同設立者兼CEOのMichael Berolzheimerは、Florence Healthcareが良いタイミングで市場に参入したと語っていた。
というのも、FDAの規制により、2017年の5月までに各社は臨床試験の情報を紙ではなくデジタルで管理・申請しなければならないのだ。
Berolzheimerは、Florence Healthcareが今回の調達資金を、Florence eBinder Suiteと呼ばれる「統合垂直型ワークフローシステム」の採用数を増やし、同システムが、事務担当者から臨床試験のリーダーまで利用する人全員にとって簡単なものであり続けるような開発を行うために使うべきだと語った。
さらに彼は、「長期的に見れば、Florence Healthcareは、製薬業界のバリューチェーン上に存在する全ての人に対して、新たなデータやサービスの供給方法をみつけることができるかもしれません。彼らは、FDAや新薬開発のさらに上流工程をサポートできる可能性を備えています」と話した。
Florence Healthcareのユーザーには既に、カリフォルニア大学サンフランシスコ校Mt. SinaiやSloan KetteringのPCCTC Cancer Research Centerなど、医薬品や医療機器の開発者に人気の機関が名を連ねている。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)