Frame.ioがプロ仕様「カメラからクラウドへ」ビデオアップロードで映画制作を効率化

クラウドベースの映像コラボレーションツールを提供するFrame.ioは米国時間2月11日、「Frame.io Camera to Cloud」という新技術を発表した。

同社のイノベーション担当グローバルSVPであるMichael Cioni(マイケル・チオーニ)氏は、消費者は映像をクラウドに瞬時にアップロードすることを期待している一方で、プロの映画やテレビ制作はまだハードドライブに頼っていると説明する。

それには妥当な理由がある。これらのプロダクションでは、より高品質の映像を使用しているため、ファイルが巨大になるからだ。しかし、Frame.ioは、帯域幅をそれほど消費しない「プロキシ」映像をアップロードすることで、この問題を解決するという。

実際、LTE接続でアップロードすることも可能だ。Frame.ioチームはデモとして、短い映像を撮影し、数秒後に国の反対側にあるコンピュータからアクセスできるようにして見せてくれた。

チオーニ氏によると、これにより、編集プロセスはハードドライブの移動を待つ必要がなくなったという。「直線的だったプロセスをパラレルにするわけです」。

画像クレジット:Frame.io

Camera to Cloud経由でアップロードした映像はFrame.ioで編集できるが、この技術はFinal Cut ProやAdobe Premiereなどの一般的な編集ソフトウェアにも統合されている。また、プロキシ映像にはオリジナルと同じタイムコードとメタデータが含まれているため、ドライブを受け取った時点で編集を同期させることができる。

さらに、Camera to Cloudを使えば、撮影現場の内外を問わず、撮影した映像をコンピュータ、iPhone、iPadからすぐに見ることができる。

「カメラの停止ボタンを押した瞬間に、撮影した映像を携帯電話で見ることができたら最高だと思いませんか?」と Frame.io のCEOであるEmery Wells(エメリー・ウェルズ)氏はいう。「今はプロのセットではそれができません。それをするのが仕事のスタッフがいて、セットのあちこちに再生モニターがあって、みんなが同時に(モニターで)プレイバックを見ます」。

同社はパンデミックの前からこの技術の開発に着手していたが、ウェルズ氏は「セットにいる人が少なくなった今、この技術の必要性がさらに高まっていることがわかりました」と語る。

実際、この技術はパンデミックを描いた映画「Songbird」の制作中にすでに使われていた。この映画は2020年夏に撮影されたが、Camera to Cloudを使用することで、(新しい安全プロトコルのために)撮影現場に入ることが許されていないプロデューサーたちも、最新の映像に遅れずついていくことができた。

Camera to Cloudは、Teradek CUBE 655、Sound Devices 888、Scorpioレコーダーなどの既存のデバイスで動作し、Arri、RED、Sonyの互換性のあるカメラに取り付けることができる。Frame.ioの有料会員は追加料金なしで利用できる。

「2020年代の終わりまでには、オーディオ、ビデオ、その他何でも、誰もがクラウドで撮影するようになると当社は予測しています」とチオーニ氏は述べている。

関連記事:グラフィックデザインのようにブラウザで動く共同動画編集ツール「Scenery」

カテゴリー:ネットサービス
タグ:動画撮影・編集

[原文へ]

(文:Anthony Ha、翻訳:Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。