Gengoにライバル出現! クラウドソーシング翻訳のConyacがビジネス向けサービスに参入

スタートアップのエニドアが運営するConyacといえば低価格が魅力の翻訳のクラウドソーシングである。これまでConyacは個人向けサービスとしていたが、今日からビジネス向けのサービス、Conyac for Businessを提供すると発表した。ライバルのGengoと同じ市場に参入しようというわけだ。

ビジネス向けのサービスで大きな変更点は、翻訳をオーダーできる文字量がいままでは720文字(日本語などは240文字)の字数制限があったものを5万文字の文章などに対応することだろう。これまでも月額100ドル支払えば利用できたプレミアム機能であれば7200文字まで対応できたが、ビジネス向けではこれを大きく超えるものだ。さらに、1つのアカウントを複数のチームメンバーで利用できるようにしたり、現在はテキストファイルのみだが、今後はパワーポイントやエクセルなどのビジネスファイルをアップロードすることで、翻訳が依頼できるような機能も搭載する。

個人向けにこだわってきたConyacだが、ここに来てビジネス向けを展開するのは、代表取締役の山田尚貴氏によれば、去年から法人での利用が増えてきたことだという。それともう1つは個人の利用だとビジネスの成長がなかなか描けなかったというのも理由のようだ。

ビジネス向けのサービスを展開する上で、翻訳の質だけでなく、翻訳依頼される機密保持も重要になってくる。この点も考慮していて、翻訳者に対して秘密保持契約を結んでもらい、身分証明書を提出してもらうことで効力を発揮するようにするという。こういった機密保持契約を結んだ翻訳者のみに依頼する場合には、料金も高めに設定するのだという。

なお、基本的な料金は月額6万円で6万ポイントが提供されるPlusプランのほか、Basic、Premiumなど1ポイントあたりの購入金額が異なるプランが用意されている。翻訳にかかるポイントは日本語・中国語・韓国語は1文字4ポイント、それ以外の対応言語は1文字1ポイントだという。

現在、Conyacの会員数は翻訳者と利用者を合わせて1万7,000人で、最近では日本語以外でも欧米企業からの利用もあり、タイ語やインドネシア語の翻訳などの依頼が伸びてきているのだという。そして初の海外拠点として今月からサンフランシスコに営業担当も置くという。とはいえ、その利用の多くは日本からだ。なので、まずは日本でのビジネスを伸長させて、その資金から海外を強化していくことを考えている。

エニドアはこれまでサムライインキュベート、ngi group(現ユナイテッド)、スカイライトコンサルティングから総額で4000万円程度の資金を調達していたが、サムライインキュベートの持分の大半をANRIが譲渡を受け、エニドアの経営に佐俣アンリ氏が関わっていくことを付け加えておこう。