GIFアニメ的な無限繰り返し短編ビデオ投稿サイトが, 抑圧体制のロシアで大人気

消え去ったファイルフォーマットは多いが、どちらかというと低級なGifは、頑固に25年以上も生き延び、今でもTumblrなどの上で健在だ。VineやCinemagramなど新進のアプリケーションも、その短い繰り返しアニメ(ループビデオ)をサポートしている。

Coubもまさにその一つだが、ここは本物の人気サイトになりつつある。YouTubeやVimeoのビデオを10秒にクリップして、音楽を付けてループする、というサイトだが、今年まったくの無から始まったにもかかわらず、ここ数か月では毎日最大で100万のビジターがある(下図)。モスクワのサイトなので、トラフィックの大半はロシア国内からだ。

Coubという名前はCobbのもじりで、CobbはChristopher Nolanの映画Inceptionの中の、Leonardo DiCaprioが演じる役の人物だ。Cobbはすでに既存のドメイン名なので、Coubにした。

このサイトを作ったGladkoborodov兄弟、AntonとIgorは、モスクワで長年いろんなメディアプロジェクトを作ったり売ったりしてきた。彼らの最新プロジェクトLookatme.ruは、ロシアのたくさんのヒップスターが集まるハブになり、もう一つのプロジェクトはこの都市の公開講義の目録作りだった。

Lookatme.ruを売ってしまったあと二人は、次のプロジェクトに関してブレインストーミングをした。そして昨年、とりあえず自費でCoubを立ち上げ、それがやっと今年の1月から軌道に乗り始めた。今の月間ユニークビジター数は550万だ。

VineやCinemagramと違ってCoubはWebファースト(notモバイルファースト)、そしてユーザが自分の携帯でビデオを作るのではなく、既存のビデオをいじることが主体だ。そうやってGifを作るサイトは前からいくつかあるが、兄弟によると、どこも使いづらくて、しかもロードに長時間を要するファイルフォーマットを使用し、Coubのループビデオに比べると画質が悪すぎる(粗(あら)すぎる)。

ロシアの人たちはCoubを使って有名人や政治家をからかう。下の二つは、高名な映画監督Nikita Mikhalkovとロシア大統領Vladimir Putinを料理している。ロシアは、昨年のPutin再選以降、さらに抑圧的な政治体制になりつつあるという兆候がある。今年初めには、ロシアのトップのソーシャルネットワークVKontakteのファウンダの内の二人、Vyacheslav MirilashviliとLev Levievが、不可解にも突然、同社の株の48%をUCPに売却した。そこは、Putinに近い筋の金融業者が経営している投資ファンドだ。

Coubの人気を、これでますますロシアではインターネット上で政治批判をすることが規制される、と危惧する人たちもいる。

しかしループビデオやGif自体は無害であり、おかしくて笑えるだけだ。兄弟は数年前に近くのサンクトペテルブルグと白海からモスクワに移り住んだが、Coubについて、それは9gagやRedditのようなヒップやニッチのサイトではなくて、YouTube的な大衆的サイトだ、と言う。

最近では海外でも人気が出始め、合衆国ではポートランドやオレゴンにユーザが密集している地区がある。Gladkoborodovs兄弟は、Coubを合衆国などの外国でも離陸させたいと願っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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