GoogleがインドのスタートアップGlanceとDailyHuntに投資、世界第2位市場へさらに注力

インド時間12月12日、Google(グーグル)はインドの2つのスタートアップGlance(グランス)とDailyHunt(デイリーハント)への投資を発表した。Android(アンドロイド)メーカーであるGoogleにとって、世界第2位のインターネット市場へのさらなる注力を行うことが目的だ。

1億台以上のスマートフォンのロック画面上にニュースやメディアコンテンツ、ゲームを提供している(未訳記事)創業2年目のインドのスタートアップGlanceは、Googleと既存の投資家Mithril Partnersから新たな資金調達ラウンドで1億4500万ドル(約150億1000万円)を調達した。

広告大手のInMobi(インモビ)グループに属するGlanceは、AIを利用してユーザーにパーソナライズされた体験を提供している。このサービスは、普通なら何も表示されることのないロック画面上に、地元に関連するニュースやストーリー、カジュアルゲームを提供する。InMobiは2019年末、グルガオンに本社を置くスタートアップのRoposo(ロポソ)を買収し、これによってプラットフォーム上でショートビデオを提供することが可能になった。GoogleもRoposoに投資している。

Roposoは、月間アクティブユーザー数が3300万人を超えるショートビデオプラットフォームだ。同アプリのユーザーたちは、10以上の言語で提供される、様々なジャンルのコンテンツを、平均して毎日20分程度視聴している。

Glanceは、いくつかのスマートフォンの機種にプリインストールされた状態でも出荷されている。またGlanceは、インドの2大スマートフォンベンダーであるXiaomi(シャオミ)やSamsung(サムソン)を含む、ほぼすべてのトップAndroidスマートフォンベンダーとの提携も行っている。同サービスの1日のアクティブユーザー数は1億1500万人を超えている。

Googleの副社長であるCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は声明の中で「Glanceはインドの多くの現地語でコンテンツを提供し、モバイルファーストやモバイル専用消費のためのイノベーションを提供できた好例です」と述べている。「今でも多くのインド人が、自分自身の言葉で読めるコンテンツや、自信を持って使えるサービスを探すのに苦労しています。そのことは、彼らにとってのインターネットの価値を、著しく制限しています。特に現在のように、インターネットが非常に多くの人々の生命線となっている時期にはなおさらです。今回の投資は、インドのイノベーティブなスタートアップと協力し、すべての人に利益をもたらす真に包括的なデジタル経済を構築する、という共通の目標に向けて取り組む当社の、強い信念を裏付けるものです」。

GlanceとInMobiグループの創業者であり最高経営責任者のNaveen Tewari(ナビーン・テワリ)氏は、今回の投資は「製品開発、インフラ、グローバル市場の拡大へ向けたGoogleとGlanceのより深いパートナーシップ」への道を開くものであると述べている。スタートアップは、新しい資本を米国での拡大に投入に使うことを計画している。

DailyHuntへの投資

Googleは、同じくインド時間12月12日、インドのスタートアップDailyHunt(デイリーハント)の親会社である(未訳記事)であるVerSe Innovation(バース・イノベーション)にも出資していることを発表した。DailyHuntは、同名のサービスやショートビデオプラットフォームJosh(ジョシュ)を含むアプリ全体で、インドの14の言語で3億人以上のユーザーに、ニュースやエンターテインメントコンテンツを提供しているという。スタートアップによれば、Google、Microsoft(マイクロソフト)、AlphaWave(アルファウェーブ)をはじめとする投資家たちから1億ドル(約103億5000万円)以上の資金を調達したということであり、今回の新たなラウンドによって同社の評価額は10億ドル(約1035億3000万円)以上となりユニコーンとなった。

元Facebook(フェイスブック)インドのトップだったUmang Bedi(ウマンベディ)氏が共同で運営するDailyHuntは、新規調達した資金をJoshアプリの拡大、現地語によるコンテンツの拡大、コンテンツクリエイターのエコシステムの育成、AIとMLのイノベーション、そして「バーラト(「インド」に相当するヒンディー語)のためのバーラト製ショートビデオプラットフォーム」の成長に投入する計画だ。

JoshとRoposoは、ニューデリー政府が2020年6月下旬にインドでTikTokを禁止することで生み出した空白を埋めるために(未訳記事)生み出された、沢山のインド製アプリの中に含まれている。禁止以前の時点では、TikTokはインドを最大の海外市場と認定していた。

Googleは今年発表したIndia Digitization Fund(インドデジタル化ファンド)からこれら両方への小切手を書いた。グーグルは今後数年間でインドに100億ドル(約1兆円)を投資することを約束している。すでにGoogleはこのファンドから、インドの通信大手Jio Platforms(ジオ・プラットフォーム)に45億ドル(約4653億円)を投資している

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:GoogleインドGlanceDailyHunt投資

画像クレジット:InMobi

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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