Googleは、検索、地図、音声アシスタントのようなGoogleサービスを、新興市場のさらなる10億人のインターネットユーザーに提供するという目標の実現に向けて、スタートアップ投資を強化しようとしている。今回Googleは、2200万ドルの投資をKaiOS社に対して行った。同社はフィーチャーフォン向けの同名のOSを開発している会社で、そのOSは多くのネイティブアプリやスマートフォンのようなサービスを搭載している。投資の一環として、今年の初めにKaiOS搭載のNokia携帯向けGoogleアプリを発表して以来、KaiOSは検索、地図、YouTubeそして音声アシスタントなどのGoogleサービスを、より多くのKaiOSデバイスに統合しようとしている。
KaiOSのCEOであるSebastien Codevilleは発表の中で次のように述べている「今回の資金は、KaiOSを搭載したスマートフィーチャーフォンの開発の加速を行い、国際的な開発を促進します。このことで特に新興市場で、今だにインターネットにアクセスできない膨大な数の人びとが、接続を行えるようになるのです」。
私たちの現在のモバイル世界はスマートフォンによって支配されている:昨年には約16億台が販売された。しかし、フィーチャーフォンも引き続き売られ続けている。2017年には約4億5000万〜5億台が出荷されたと推定されている。そして、現在それらの売り上げは、彼らの強力ないとこたち(スマートフォン)よりも、実際に速いスピードで成長している。
KaiOSを搭載した携帯電話は、明らかに後者のカテゴリーで活躍している。そしてまだフィーチャーフォンが影響力を持つ市場では、勢いを増しているのだ。インドではAppleのiOSを追い抜いて、Android端末に続く2番目に人気のある端末になっている。KaiOS社によれば、現在までに4000万台以上のKaiOS携帯電話が出荷されているそうである。
GoogleのKaiOSへの投資は、将来的にはスマートフォンへと移行する可能性のあるフィーチャーフォンユーザーたちに、そのサービスを紹介する手段とみなすことができる。しかし、これらのユーザーがフィーチャーフォンカテゴリに留まっていたとしても、これらのユーザーに対してしっかり行えることもある。フィーチャーフォンカテゴリは、進化しより機能的になり続けているのだ。
「Googleと協力して、より多くの携帯端末にサービスを提供できることを嬉しく思っています 」と、KaiOSのCEOであるCodeville語る。「手頃な価格の携帯電話上にインテリジェントな音声アシスタントを搭載することは、本当に革命的です。なぜならそれはキーパッドによる限界を打ち破る手助けをしてくれるからです」。
KaiOSは、米国で2017年に始まったプロジェクトだが、それはMozillaの失敗したFirefox OS実験の焼け跡の上に構築されたものだ。これはLinuxコードベースから分岐したものである。Firefox OSは、HTML5を利用する低コストスマートフォンの、新しい波の礎となることが意図されていた。それらのデバイスやより広範なエコシステムは、実際に立ち上がることはなかったが、KaiOSは健闘してきた。
KaiOSは、Nokia社(HMD)、Micromax社、Alcatel社などのOEMメーカーが提供する携帯電話で動作し、SprintやAT&Tなどの通信事業者と協力し、北米、欧州、アジアにオフィスを構えている。しかし、これまでで最も重要な展開は、手頃な価格の4Gデータパッケージでインドの市場を破壊的に変革した挑戦的電話会社のReliance Jioによるものである。
Reliance Jioは独自のKaiOS端末を提供し、低コストのデータパッケージと組み合せることにより、インドの携帯電話市場におけるKaiOSのシェアは、15%に急増したと伝えられており、AppleのiOSを追い越してAndroidに次ぐ第2位になった(Jio自身のデバイスが、インドのフィーチャーフォンの数を実際に増加させていて、同国では大きな影響力を持っている)。
インドのような高成長市場での市場シェアだけでも、Googleの関心を引くのに十分だったようだ。
「デスクトップ、スマートフォン、フィーチャーフォンのいずれを使用していても、誰もがGoogleのアプリケーションやサービスを利用できるようにしたい」とGoogleのNext Billion Users(次の10億人)部門の製品管理担当副社長、Anjali Joshiは声明で述べている。「JioPhonesの成功に続いて、KaiOSと協力しながら、世界中のフィーチャーフォンユーザーたちによる情報へのアクセスを、さらに向上させることができることを大変うれしく思っています」。
さらに、 Next Billionビジネスユニットは、新興市場のインターネットユーザーのニーズにGoogle体験とサービスを適合させる作業を行っている。そうしたものには、ローカルアプリや便利な公衆Wi-Fiプログラムなどの新しいサービスも含まれている。
GoogleはAndroidスマートフォンプラットフォームの開発を続けてはいるが、他のプラットフォームへのサービス拡張も提唱してきた。それはKaiOSの場合も同じである。
2月にKaiOSは、新しいNokia 8110フィーチャーフォンに、Google Search、Google Maps、Google Voice Assistantを追加することを発表した。これはGoogleの投資の一環として、全てのモデルに対して拡大されるGoogleとの契約のようだ。
はっきりさせておきたいのは、KaiOSで提供されるのはGoogleサービスだけではないということだ。今年の初めにはTwitterやFacebook向けのアプリを追加し、またより基本的なHTML-5ウェブアプリも含む専用のKaiOSアプリも提供している(WhatsAppもやがて提供されるということだ)。
KaiOSへのGoogleの投資は、Googleの2つの投資部門GVとCapitalGが関わる、直接的なスタートアップ取引の最新のものである。GoogleはコンシェルジュサービスDunzoもサポートしており、ヨーロッパ、中東、アフリカでの新興企業への投資あるいは買収をにらんで、キャリアであるOrangeと提携を行っている。
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(翻訳:sako)