Googleが、調査や研究などの結果を表す統計データの理解の仕方を一般大衆に教えるMOOCを開始する。“Making Sense of Data”(データを理解する)と題されたそのコースは3月18日から4月4日まで行われ、MOOCの定石として一連のビデオ講義と対話プロジェクトから成り、またコミュニティのティーチングアシスタントを支援する。
コースを最後まで完全に履修し、宿題も全部やった人は、ご希望なら終了証書をもらえる。下のYouTubeビデオ(未公開)に、簡単な説明がある:
最近ホワイトハウスは、データサイエンスが分かる職員がもっと欲しいと言っており、その要望に応える有料のオンライン教育サービスがこのところ増えている。GoogleのMOOCは無料だが、内容的には彼らの仲間入りをすることになる。MOOCの二大大手、CourseraとUdacityには、終了証書が有料のデータサイエンスコースがある。
Googleによると、このコースは同社のデータ視覚化ツールFusion Tablesと関連している。これは、データを噛み砕いて消化してグラフやチャートやマップなどで表示してくれるサービスだ。ただし対象は勉強好きのデベロッパではなく、あくまでも一般大衆。
Googleの目的は、現在の一般教育では一般大衆レベルにデータを正しく理解する能力が身につかないのでそのギャップを填めること、そしてついでに同社のプロダクトを宣伝することだ。同社のブログは曰く、“Making Sense of Dataは、学生や教師、ジャーナリスト、企業の管理職や経営者など、日々の仕事でデータを扱っている人たちに、データを有効に利用する能力を一層高めていただくことを目的とする”。
このコースの開設にあたってGoogleは、MIT/Harvard*のMOOCプロジェクトedXの協力を得ている。というか両者のパートナーシップは、誰でも自分のコースを開設できるようにする、という壮大なプロジェクトが本来の目的で、今回のMOOCはそのささやかな一端にすぎない。〔*: MIT/Harvard, マサチュセッツ工科大学とハーバード大学。〕
今、初等レベルの統計学の即席コースを求めている先生たちや企業人はとても多いから、この二週間のコースは今後、各地の高校などで頻繁の再利用され、Googleのベストプロダクトの一つになってしまうだろう。つまりこれはGoogleの顧客サービスではなく、れっきとした製品開発なのだ。
ぼくも最近、Courseraの統計学MOOCを数か月受講してみたが、そのクォリティは、ぼくが昔カリフォルニア大学で取った大学院コースと比べてもひけをとらない。合衆国のMOOCはすでに累積受講者が10万名を超えており、Googleのような企業が今回のようにマーケティングのふりをして(実は)製品開発に取り組んでもおかしくない、将来性に富む商材なのだ。
4月になったら、このコースのレビューを書いてみよう。いずれにしても、オンラインの学校というビジネスは、今後の高等教育と成人学習市場を強力にディスラプトしていくだろう。ただし、Googleなどが企業としてそれをやる際には、自社の企業利益と、大衆教育という社会的目標とのあいだの、細心の均衡が必要だ。
毎日大量のデータ処理でメシを食っている大企業が、データ理解のための公開コースを無料で提供するのはとってもクールだが、その内装ならぬ外装が持つ企業色には気をつけよう。
画像: theshirtdudes
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))