[本稿の執筆者はJonathan Shieber]
Googleによる32億ドルのNest買収は、家庭や会社におけるデータ、サービス、エネルギーの交点にいるスタートアップたちに新たな風を巻き起こしそうだ ― いや、初期段階の競合他社にとっては終結の兆しかもしれない。
クリーンテクノロジー業界で広く名の知れているある投資家は、この買収は市場全体にとって良いことだと言っているが、あるテクノロジー主体のベンチャー投資家は、Googleの買収によってNestは明確な勝者としてのお墨付きを得た ― そして勝者は総取りする ― と語った。
では、心配すべき(あるいは喜ぶべき)なのは誰か?
GoogleとNestの陰になるかもしれないスタートアップを以下に挙げてみた。
Nestと同じく、Opowerはエネルギー管理に取り組んでおり、Kleiner Perkins Caufield & Byersの支援を受けている。ハードウェア会社であるNestと異なり、Opowerは6570万ドルの資金を調達し、公共事業向けに、消費者のエネルギー消費を監視して、省エネを促進するためのソフトウェアを開発している。Opowerの出資者には他にNew Enterprise AssociatesとAccesl Partnersがいる。
これもエネルギー管理ソフトウェアを開発するEcoFactorは、Nestと同様に大型上場企業の支持を受けている。NestがGoogleなら、EcoFactorにはNRG Energyがいる。発電能力47ギガワットのの発電所を持つ電力会社で、小売部門は16州に200万世帯の顧客を持っている。EcoFactorは最初の資金をRockPort Capital Partersから調達し、シリーズAラウンドに参加したAster CapitalとClaremont Creek Venturesと共に現在も出資を続けている。現在までに同社は計2740万ドルを調達している。
1.11億ドルの現金を保有しているTendril は、消費者の家庭におけるNestのライバル候補の中でも最も資金力のある会社かもしれない。他社同様Tendrilは、消費者に省エネ目標を立てさせ、顧客サービス改善に役立てるためのソフトウェアパッケージを公業事業向けに販売している。同社の事業は、Good Energies、RRE Ventures、Siemens Venture Capital、VantagePoint Capital Partners、およびVista Venturesらの投資家を魅するだけの説得力を持っていた。
非公開企業、Alarm.comの子会社であるEnergyHubは、Nestをノックアウトする可能性を持つAlarm.comの秘密兵器だ。同社はビデオモニター、ガレージドア制後装置、セキュリティーアラームとの接続などの事業に加え、EnergyHubのエネルギー管理ソフトウェアを開発している。2012年7月にTechnology Crossover Venturesが1.36億ドルの投資を完了した。
720万ドルの資金を持つカナダのサーモスタットメーカー、Energateは、2010年に地元投資家のThe Ontario Capital GrowthとCycle Capitalから現金を調達した。カナダのオタワに拠点を置く同社は、サーモスタット、エネルギー表示装置、負荷スイッチ、その他周辺機器を製造し、カリフォルニアおよびテキサスに営業所を持っている。
もしGoogleが、Nestに海を越えさせたら、英国ベースのエネルギー管理会社、AlertMeにも火の紛がふりかかるかもしれない。Good Energies傘下の省エネに特化した会社、AlertMeも公業事業のBritish Gasを投資家、戦略パートナーの一つとして考えている。
巨大家するNestに脅威を感じているのはスタートアップだけではない。
2年前、ビル管理システムと工業生産の巨人、Honeywell Internationalは、Nestを特許侵害で訴えた。ビルオートメーションは、Honeywellの他Johnson Controls、Schneider Electricといった数十億ドル企業が極めて重要と考えている市場だ。Transparency Market Researchの試算によると、2012年に36億ドルだった市場規模が、2019年には164億ドルになるいう。
GoogleによるNestの買収は、これらの大物たちもまた、無限の財布を持つライバルに直面する可能性があることを意味している。
画像提供:Nest
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)