Google+プラットフォームがメジャー・アップデートしてサードパーティーのサービスにG+アカウントでサインインが可能に―「ソーシャルスパムなし」が自慢

google_plus_developer_logo

Googleは先ほど、Google+プラットフォームのメジャー・アップデートリリースした。今回のアップデートの目玉はGoogle+のログインでサードパーティーのサイトへのサインインが可能になったことだ。このGoogle+のアカウントによるサードパーティーへのログイン・サービスは、Googleによれば「現在のGoogleによる認証システムよりはるかに高機能だ。ただし旧バージョンも従来どおり機能する」とのこと。

このサインイン機能を利用するとユーザーはサードパーティーのウェブやモバイルのサイトに新たに登録する際、Googleアカウントが利用でき、さらにGoogle+のプロフィールを持ち込める。つまり新しいユーザー名やパスワードをいちいち用意する必要がない(この点ではFacebook Connectとほぼ同様の機能だ)。

新システムでは従来からGoogleが推奨している2段階認証やOAuth 2.0が利用できる。しかしそれだけではなく、デベロッパーは必要に応じてさらに多くの新機能を利用できる。たとえば、サイトの訪問者がワンクリックでAndroidアプリをインストールできるようにしたり、FitbitのデータやShazamのコンテンツを直接Google+のプロフィールに掲載したり、相手を選んでタイムラインに流して共有できるという。

すでにBanjo、Beautylish、Fancy、Fitbit、Flixster、The Guardian、OpenTable、Shazam、TuneInRadio、USA TodayがGoogleの新しいサインイン/ログイン機能をサポートしている。

3sharing_is_selective

Googleによれば、この新システムにはいくつか重要なメリットがあるという。中心となるのはもちろんサードパーティーへのログイン機能そのものだが、ユーザーから見た場合は現在のGoogleログインと事実上変わらない。昨日、Googleの担当者に取材したところ「メジャー・アップデート後もユーザー体験が変わらないようにすることに特に気を配った」という。

新機能はウェブ、iOS、Androidのすべてをサポートする(もちろんワンクリック・インストールはAndroidのみ)。アップデートが世界の全ユーザーに公開されるにはここ数日かかる見込みだ。

では今回のアップデートで本当に変わったのは何か? それはログインシステムを利用した機能拡張だ。


対話的共有

GoogleはGoogle+に「対話的共有」と呼ばれるボタンを追加した。デベロッパーはこのボタンにさまざまな機能を実装することができる。Googleではデベロッパーの自サイトやモバイル・アプリのの関連ページにジャンプする、プロダクトを購入したりレビューしたりする、音楽を再生する、など100種類以上のアクションを用意している。対話的共有ボタンを使えばGoogle+の投稿にこうした機能が簡単に導入できるようになる。.

選択的共有

Google+チームは以前から「デベロッパーががユーザーのストリームに自動的に投稿を送り込むようなことを許すつもりはない」と言ってきた。「そんなことをするのはスパムに等しい」というのがチームの見解だ。今日のアップデートもその約束に違わず、依然としてユーザーのボタンクリックという積極的行動なしにデベロッパーがユーザーのタイムラインにメッセージを送ることはできない。しかしボタンがクリックされた後はGoogle+のプロフィールのページを自動的に更新できるなど、デベロッパーには自由が増えた。

4a_interactive_fancy_tunein

Googleチームは私の取材に対し、スパム防止と情報共有の調和に関して次のように説明した。

われわれはアプリや個人が他のユーザーのニュース・ストリームににスパムすることを防止しようと務めてきた。一方、Google+ではサークルを選んで情報を共有できる機能を提供している。そこでわれわれはユーザーがストリーム中で明示的に共有を選択しないかぎり、その情報はユーザー自身のプロフィール・ページのみに表示されるようにした。ユーザーはその後、プロフィール・ページ中から任意の情報を選択してGoogle+上に改めて公開することができる(たとえば今日聞いた音楽の曲名や一日に何歩歩いたかなどの情報)。

ユーザーがサークルや個人を指定して共有した情報はすべてその相手のウェブなりモバイル・アプリなりの通知バーに表示される。Googleによれば、これはメッセージができるだけ正確に意図した相手にのみ表示されるようにするためだという。

これがどう機能するのか例を見てみよう。Fitbitはユーザーが「毎日何歩運動したか」を自動的にプロフィールに表示して共有できるようにする。実際の手順はこうだ。ユーザーはGoogle+アカウントでFitbitにログインする。次にFitbitが提供する情報のうち共有したい種類を選び、次に共有相手のリストないし個人を選ぶ。

1simple_secure

一方、Fancyのようなサービスでは、ログインの際にユーザーがそのAndroidアプリをインストールしていないことを探知した場合、ユーザーにアプリをインストールするか尋ねる。これでデベロッパーはアプリのインストールするを(Googleの表現によれば)魔法のように増やせるのだという。ただし現在のところアプリのワンクリック・インストールは無料のみがサポートされている。

Googleはデベロッパーに新システムへの早期移行を勧めているが、今後も旧システムは機能させる。新システムのリリースにあたたってのパートナーの一つ、OpenTableは私の取材に対して、「Google+を利用したウェブとモバイル・アプリへのサインインへの新システムへの移行はごく短時間ですんだ」と語った。Googleは「新システムの基本的部分の実装には1時間もかからないだろう。対話的共有や選択的共有機能を駆使した複雑なシステムの開発でも2週間程度でできる」という。

2desktop_mobile

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。