インドにおけるGoogleの直近の活動によって、何百万人もの人々が医療情報にアクセスし易くなるかもしれない。Googleは、昨年アメリカにてナレッジグラフ上に医療情報の掲載を開始した。これによってユーザーは、症状や悩みから、Google検索を通じてすぐに医療情報にアクセス出来るようになった。そして、遂にその機能はアメリカから遥か東に位置するインドで導入されることとなった。
Alexaによると、Googleはインドで最もアクセス数の多いウェブサイトを2つも運営している。今回のサービス導入によってインドのユーザーは、iOS・Androidの検索アプリを含む、Google検索の全プラットフォーム上で、病名や症状の検索を通じて400種類以上の病理データを英語・ヒンディー語で読むことが出来るようになる。
更にGoogleは、「今後、ユーザーが一般的な病名をGoogleで検索すると、典型的な症状をはじめ、どのくらい広汎な病気であるか、致死性、感染力、病状が表れやすい年齢層といった詳細情報が記載されたカードが表示される」と発表した。
そのカード上には画像も掲載されており、カード自体をPDFとしてもダウンロード可能なため、家族や友人へ簡単に情報を伝えることができる。また、インドのようなネット回線の速度に限りのある場所からアクセスするユーザーのために「軽量」版のカードも準備される予定だ。
Googleの活動の意義とは?
総検索量の20分の1が健康に関する内容であることから、検索エンジンの代表格であるGoogleも、ユーザーがより多くの情報に触れることができる環境作りに注力している。但し、「検索結果は医学的なアドバイスを目的としたものではない」との注意書き付きである。
アメリカで同サービスは既に公開されており、Mayo Clinicと共に検索結果の正確性を高めながら、数週間のうちにブラジルでも公開が始まった。インドでは、Apollo Hospitals やColumbia Asia Hospitalsとコンテンツに関して協業を行いながら、昨年はデリーから40km南方に位置するバラブガールにあるクリニックを訪れ、草の根医療従事者を支援するための情報収集を行った。
基本的な手術を受けることが出来ない人の割合が、97%にまで至ると言われるインドにおいて、Googleの活動は、医療の民主化に身を捧げているスタートアップ企業の増加と呼応している。検索ポータルのPractoは昨年、Google Capitalによる出資を含む九千万ドルの投資を勝ち取り、競合のLybrateも名高いヘッジファンドTiger Globalから1000万の出資を受けている。
両社は、ユーザーに対して信頼性の高い医療情報ばかりか、医師資格を持つ専門家によるフィードバック(更に必要に応じてアポイント)の提供を主な事業としている。Googleのインドにおける医療関連サービスは両社のレベルには及ばないものの、その知名度を武器に、一見小さな一歩に過ぎない活動でさえ、より多くの情報を人々に提供したり、インド国民の健康への関心を高めることに繋がる可能性を秘めている。
その証拠に、全世界の同プロジェクトをアメリカのGoogleから指揮する、シニアプロダクトマネージャーのPrem Ramaswami氏は、先月義父が胸の痛みを感じ始めた際に、アメリカ・インド両国に住む彼の家族が、どのように有益な情報をネット上でみつけたか、という話をしてくれた。
更に我々とのインタビュー内でRamaswami氏は、「健康は、インド人に留まらず世界中の人々にとって、とても大切で必要なものである一方、語彙や情報の信頼性の問題から、オンライン上の消費者にとっては一筋縄ではいかない問題でもある。我々は、ユーザーがより多くの情報を得るためのフレームワークを提供するために、シンプルで簡単な何かを作ろうとしていた。」と語った。
今回発表されたサービスは、ただ消費者による情報へのアクセスを促進するだけはなく、医療従事者が、より多くのデータを携帯できるようにすることを目的につくられている。Ramaswami氏は、このサービスが、医者を訪れることに疑心を抱くような患者達を説得する際にも役立つとも語った。
Googleは近年、医療情報の他にも、YouTubeのオフラインサポートや、モバイルブラウジングの更なる最適化、インドの鉄道網におけるWi-Fi提供等、インド現地向けサービスの提供に組織を上げて注力している。
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(翻訳:Atsushi Yukutake)