Googleは、人々に自社のモバイル検索とコンテンツ発見のプロダクトを使い続けてほしいと考えている。Facebookのインスタント記事のような他サービスとの競争も高まっている。Googleはモバイルウェブページを早くロードできるAMPにいくつかのアップデートを発表した。
本日の開発者カンファレンスGoogle I/O で、Googleはすでに90万のドメインに及ぶ20億のページがAMPになったと発表した。さらに、Google検索からだとAMPはさらに2倍早くロードするようになったという。今後、AMPネットワークはEコマースや他の広告フォーマットにも対応すると発表した。
こうしたアップデートはGoogleや似た取り組みを行う企業に対する批判へのバランスを取る施策でもある。Googleをはじめとする企業が目指しているのはユーザー体験の最適化だが、ユーザーをGoogle、Facebookなど特定のドメインに誘導し、そのサイト自体のトラフィックを奪っていると批判されてきた。
GoogleはこのニュースをWordPressのブログ記事に投稿した。WordPressを使うことでGoogleはこの施策はウェブサイトと協調的なプロジェクトであり、各サービスをまたぐものであると主張したいのかもしれない。GoogleはAmazonを見習ったのか、Google検索に表示されるAMPのHTMLページにおけるロード時間は公開していない。
この改善はバックエンドでの変更とGoogleは説明している。具体的にはAMPのキャッシュで画像のデータ通信を50%削減し、新たな圧縮アルゴリズム Brotliを実装したという。これはGoogleが2015年に発表したもので、ドキュメントのデータ通信を10%削減するものだ。
Googleはソーシャルネットワークを中心にAMP対応のサイトを増やした。
Tumblr(Yahooが買収、Yahooの検索エンジンはAMPページを表示する)では3億4000万のブログ、50万のドメインがモバイルでAMP対応となる。TwitterもまたモバイルページでAMPのサイトへのリンクを利用する(ツイートのリンクをクリックした時にAMPが表示されるということだ)。また、Googleは今後モバイルアプリのリンク先もAMPに変更する予定でいる。
アジアではTencentのQzone(中国最大のソーシャルネットワーク)とWeibo(中国で3番目)もAMPのモバイルページを表示する。
GoogleはAMPは普及させ、土台を整えることができた。次は、商業的な面でAMPを強化することを考えている。具体的には、AMPを使うEコマースサイトのページとAMPで対応する広告の種類も増やすということだ。
Eコマースサイトの拡大にはeBayが含まれている。eBay は1年ほど前からAMPを導入し、1500万ページをAMPにした。今回は、対象となるページを数百万ページ増やす。全てのプロダクトページとブランドページ、「興味関心」ページを含む。この「興味関心」ページはあらゆる商品が雑然と並ぶページではなく、よりターゲティングしてユーザに関連する商品を表示するためのページだ。
他にもヨーロッパのZalando、インドのMyntra、中国のAliExpressなどもAMPを導入する。
広告に関しては、AMPでの通常のページロードと同じ原理を広告にも応用する。Googleは3つの広告フォーマットのためのコードを発表した。
これまでウェブページのロードを遅らせていたのは広告とそれに伴うユーザーの行動を検知するための無駄な機能だ。
そのため、多くの人はアドブロッカーや広告をブロックするOperaのようなブラウザを選ぶようになった。
オンライン広告が収益源であるGoogleにとってこれは警戒すべきトレンドだ。AMPでモバイルユーザー体験の改善の次にモバイル広告のユーザー体験の改善へと移行するのは理にかなう話だ。
こうした新たな広告フォーマットのコードを書くことで、Googleはモバイルページにどのように広告が導入されるかを議論する上で中心的立ち位置に立つことができる。Googleはモバイルウェブという次の時代でどのようにマネタイズするかについて議論する席を早くも確保したのだ。
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(翻訳:Nozomi Okuma /Website)