Google CloudにKubernetes Engineの「オートパイロイット」サービスが登場

Google Cloudは米国時間2月24日、Google Kubernetes Engine(GKE)の新しい運用モードを発表した。そのモードではコンテナのクラスターの日常的な運用の多くを、Googleの技術者と自動化ツールに任せることができる。Autopilotと呼ばれるモードでは、クラスターとそのノードを管理するデイツー(実稼働初日)のすべての操作をGoogleが管理し、そのためのベストプラクティスとセキュリティを実装している。

新しいモードは、既存のGKE体験を拡張する。そのエクスペリエンスはすでに、クラスターを立ち上げるインフラストラクチャの多くを管理していた。Google Cloudが「スタンダード」と呼ぶそのエクスペリエンスは今後も可利用であり、ユーザーが構成を心ゆくまでカスタマイズでき、ノードのインフラストラクチャを手作業で用意し管理できる。

GKEのプロダクトマネージャであるDrew Bradstock(ドリュー・ブラッドストック)氏によると、Autopilotの基本にある考え方は、GoogleがGKEのためにこれまで開発してきたすべてのツールをまとめて、本番環境でのクラスターの動かし方を知っているSREチームに渡すことだ。それは、Googleの社内では前からやっていたこととなる。

ブラッドストック氏は次のように説明する。「Autopilotは、オートスケーリングとオートアップグレードとメンテナンスとデイツーの運用を一体的に縫い合わせて、さらに全体の強化も行う。これによって新しい顧客は極めて迅速に、デベロッパーやテスト、それにプロダクションのためのより良い環境を手に入れることができる。なぜなら、デイゼロから始めた彼らも、クラスター作成に要する5分間が終わればデイツーが完了しているからだ」。

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デベロッパーから見れば、何も変わっていない。しかしこの新しいモードはチームをKubernetesの管理から解放して実際のワークロードに専念させる。企業は依然としてKubernetesの利点を享受するが、ルーチン的な管理とメンテナンスの作業がなくなる。それは、Kubernetesのエコシステムの進化にともなって生じつつあったトレンドでもある。結局のところ、企業がKubernetesを有効に管理できる能力を身につけても、それが競争で優位に立てる差別化要因になることはまずない。

もちろん、Autopilotは有料のサービスだ。GKEの1時間0.10ドル(約10.6円)の定額料金に加えて、クラスターやポッドが消費するリソースが費目に加わる。なお、無料のGKEティアには74.70ドル(約7910円)のクレジットが付いている。GoogleはAutopilotクラスターのコントロールパネルには99.95%のSLAを提供し、マルチゾーンのAutopilotのポッドには99.9%のSLAを提供する。(公式ページ

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GKEのAutopilotは一連のコンテナ中心型のプロダクトをGoogle Cloudのポートフォリオに収めているが、そこには顧客のマルチクラウドをサポートするAnthosや、サーバーレス環境のCloud Runなどもある。ブラッドストック氏は、次のように説明している。「実はAutopilotはGKEの自動化という側面を利用する便宜だが、それはGoogle Cloudを動かすために使われていたものだ。今回はそれらのすべてを使いやすいパッケージにまとめることで、Kubernetesの初心者でも、非常に大きなコンテナ群を動かしている者でも、大量の時間と操作、計算処理すら節約できるようにした」。

そしてGKEはAnthosの鍵となるものだが、そのサービスの実体はむしろ、Googleの構成管理とサービスメッシュとその他のツールを、エンタープライズ自身のデータセンターに持ち込むものだ。GKEのAutopilotは少なくとも現在のところ、Google Cloudでしか利用できない。

ブラッドストック氏はさらに「サーバーレスの世界では、Cloud Runが独自の開発哲学を持つデベロッパーの間で人気が高い。例えばアプリケーションのインスタンスが0から1000に増えてまたすぐにゼロになったとしても何も心配する必要はなく、すべてをGoogleが管理する。どんな開発にとっても、それはすばらしいことだ。Autopilotは複雑なサービスというよりもむしろ、プラットフォーム全体を単純化して、ユーザーをKubernetesの有効利用に専念させる。また、もっと多くのものを制御できるようにしたり、1つの環境で大量のアプリケーションを動かすこともできる」という。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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