日本時間9月16日、GoProはアクションカムの新モデル「GoPro HERO10 Black」(以下、HERO10)を発表。GoPro.comにて販売を開始しました。GoPro.comでの価格は6万4000円(税込)となり、年額6000円の「GoProサブスクリプション」加入者、もしくは購入と同時に加入する場合は5万4000円(税込)で購入できます。
ちなみにGoProの製品ラインナップはHERO10が追加された格好となり、1世代前のHERO9に加え、GoPro HERO8 Black(以下、HERO8)やGoPro MAXも併売されるとのこと。
そんなわけで今回は、HERO10を先行して試用させていただく機会が得られたので、実機とともにご紹介していきます。
プロセッサーの刷新で撮影性能がアップ
早速ですが、やはり気になるのは「昨年のGoPro HERO9 Black(以下、HERO9)と何が違うのか」ですよね。HERO10の最も大きな進化点は、GoPro HERO6 Blackから採用されていた「GP1」プロセッサーが「GP2」へと刷新されたこと。
これにより撮影性能が大幅に向上し、動画撮影では5.3K/60フレームまで、4Kでは120フレームまで、2.7Kでは240フレームまでに対応(静止画撮影は23MP)しました。また、高感度性能の向上により、暗所でのノイズ軽減も実現したと言います。加えて、手ブレ補正機能のHyperSmoothは「HyperSmooth 4.0」へと進化、従来よりもブレ補正が強化されているとのこと。タッチ操作の反応向上やフロントディスプレイのフレームレート向上といった操作性アップもGP2採用によるものです。
以下の動画はHERO10とHERO9でHyperSmoothの効き具合を比較したもの。そもそもHyperSmooth 3.0でもブレ補正がかなり効いているのですが、HERO10のほうがよりブレが少ないように思えます。とはいえ正直なところ劇的な差ではないかな……。
続いて下の動画は暗所撮影での比較。こちらは差がはっきりわかるレベルで、HERO9と比べるとHERO10のノイズが少ないのがわかります。ただし動きが激しくなるとHERO10でも厳しい印象でした。また、ISO感度は最大6400まで設定可能ですが、3200以上はかなりノイジーになるので注意が必要です。
5.3K/60フレームでも撮影してみましたが、解像度が高いほどファイルサイズも大きくなる(5.3K60フレームだと15秒で200MB程度)ので、なんでもかんでも5.3Kで撮影するのではなく、用途に合わせて設定変更するのが良さそうです。
そのほか機能面でHERO9からの大きな変更はなく、耐衝撃性や10m防水対応も従来どおり。GoProをWebカメラとして使ったり、スマートフォンとGoProのみでライブ配信が行ったりといった、HERO9でできていたことは基本的にHERO10でも同様にできます。
目新しい機能として挙げられるのは、スマートフォンとGoProを有線で接続し、ファイルの転送が行えるようになったことでしょうか。HERO8以降(GoPro MAX除く)のモデルが対応しており、従来の無線接続よりも高速にスマートフォンへファイルの転送が行えます。
外観はほぼ変更なし。HERO9向けアクセサリーがそのまま利用可能
一方で外観はと言うと、なんとなくお気づきの方も多いかもしれませんが、見た目はほぼ変わらずです。
背面に2.27インチのタッチ対応ディスプレイ、レンズ側に1.4インチカラー液晶を備える点に違いはなく、本体サイズもHERO9と全く同じ(W71.0mm x H55.0mm x D33.6mm)。左側面に電源ボタン、上部に撮影ボタン、底面の格納式マウントフィンガーなども従来どおりです。変更点は重さがHERO9より5g軽い153gとなったことと、ロゴの色が青に変わったことくらいしかありません。
そのため、アクセサリー類はHERO9向けのものと共通になります。指向性マイクや3.5mmマイク端子、ミニHDMIポートなどが追加できる「メディアモジュラー」や、強力な手ブレ補正でカメラをぶん回しても水平維持をしてくれる「Maxレンズモジュラー」なども現行のHERO9向けのものがそのまま利用できます。
自動編集が優秀なスマーフォンアプリ「Quik」
HERO9をレビューした時にも感じましたが、GoProと連携して使えるスマートフォン向けアプリ「Quik」が便利。アプリ上から、設定変更を含めたGoProのコントロール、動画 / 写真の確認、1080p 品質でのライブストリームなどが行えるほか、動画の自動編集機能まで備えています。
カメラに触れずにGoProの操作ができるのもメリットですが、動画の自動編集機能が秀逸です。複数の動画を選ぶだけで、アプリが自動的にいい感じのシーンを抜き出して音楽やモーションをつけて1つの動画に仕上げてくれます。完成した動画をスマートフォンに転送すれば、SNSなどでのシェアも簡単というわけです。
というわけで、車のダッシュボードにHERO10を設置してTimeWarpで撮影し、自動編集機能を使ってみました。編集そのものにかかった時間はわずか1〜2分でしょうか。もっと作り込むこともできますが、ある程度のクオリティの動画が気軽に作れるのは良いですね。
やっぱり使いやすい定番アクションカム
HERO10は現状のGoProで最もハイスペックなモデル。外観は前モデルとあまり変わりませんが、中身は確実に進化していました。また、長い間進化を続けている製品なので、アプリなどを含めて使い勝手は良好です。
少しでもコストを抑えたいのであればHERO8、HERO9を選択肢に入れてもいいのかもしれませんが、HERO9との価格差が5200円(GoProサブスクリプション加入者の場合)なので、悩むならHERO10を選んでおけば後悔することもないでしょう。HERO9ユーザーであれば、アクセサリーが共有できるので買い増しして、2台体制にするというのもありかもしれませんね。
・自撮りもバッチリ GoPro HERO9 Black 速攻レビュー 5K動画撮影やWebカメラ化も可能
(こばやしなおき。Engadget日本版より転載)