GrabとSingtelが提携しシンガポールでデジタルバンクのライセンスを申請

ライドシェアサービスやフードデリバリーなどの機能を搭載したスーパーアプリを提供しているGrabとシンガポール最大の通信会社の1つであるSingtelは米国時間12月30日、デジタルフルバンクのライセンスを共同で申請すると発表した。このライセンスが承認され、シンガポール金融管理局(MSA)の基準を満たしていれば、完全な銀行機能の運用の前に簡単なクレジットや投資商品を提供できるようになる。

コンソーシアムではGrabが60%、Singtelが残りの40%の株式を保有する。共同声明によると、両企業は「(中小企業を含む)シンガポールの消費者および企業セグメントの十分なサービスが提供されていないニーズに対応する、差別化されたサービスを提供することにより金融サービス分野への貢献に取り組む」という。運転資金の確保は東南アジア全域で大きな課題となっており、いくつかのスタートアップや金融機関が信用力を試算し、融資を管理するための新しいツールに取り組んでいる。

Grabは2012年に相乗りサービスとしてスタートしたが、現在は「東南アジアを代表するスーパーアプリ」を自称し、交通、物流、食品配達、チケット、ホテル予約、金融など幅広いサービスを1つのポータルで提供するアプリを提供している。

Grabは2016年にデジタルウォレットのGrabPay Walletを導入することで金融サービスに参入し、2019年にはGrab Financial Groupをローンチした。同社によると、Grab Financial Groupのサービスにはオンライン決済、融資、保険商品が含まれ、東南アジア全体で1億人のユーザーに利用されているという。

Grab Financial GroupのシニアマネージングディレクターのReuben Lai(ルーベン・ライ)氏はプレスリリースにて、同コンソーシアムの計画は「アクセスしやすく、透明性が高く、手頃な価格のさまざまな銀行および金融サービスを提供する、真に顧客中心のデジタル銀行を構築することだ」と述べた。

MASは6月にシンガポールの銀行部門の自由化の一環として、最大2行のデジタルフルバンクのライセンスと、3行のデジタルホールセール(大口向け)銀行のライセンスを発行すると発表した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

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